Nick Goold
物価指数とは？
物価指数とは、世の中の商品やサービス価格の変動を測定する経済指標の1つです。
通常、基準指数を100とし、100を基準として各期間の物価変動をパーセンテージ（％）で示します。この指数を計算する際には、どの項目を指数に含めるのかを定め、各項目の価格を毎月収集していきます。
消費者物価指数
消費者物価指数（CPI）は、生活用品や消費に関わるサービスの平均価格を測定する経済指標です。CPIはインフレ率や消費者購買力を測定するのに役立つ重要な経済指標です。CPIの範囲と計算方法は、計算に利用するデータ、加重の計算、計算に含まれるサービス項目によって異なることがあります。
例えば、米国のCPIは労働統計局（BLS）が算出しており、都市部の消費者が購入するサービス価格の変化を集計しています。商品とサービスの項目には、食料、住宅、輸送、医療、アパレル、レクリエーション、教育、通信が含まれています。BLSは1982年から1984年を基準期間とし、家計の支出パターンに基づいて2年ごとに計算に利用する項目の調整をします。
同様に、ユーロスタット（Eurostat）はユーロ圏CPIを発表しており、ユーロ圏内の個人が主に利用する食品、アルコール、タバコ、衣類、住宅、エネルギー、輸送、通信、レクリエーションなど様々なサービス価格のコストを集計しています。ユーロスタットは2015年を基準期間とし、家計の支出パターンに基づいて個人消耗品・サービスの項目を毎年更新しています。
日本の総務省は、主要経済圏の個人消費に関連する商品・サービス価格の変化を算出する消費者物価指数を公表する機関です。商品・サービスの項目には、諸外国と同様の家庭用品が含まれています。しかし、地域差の特徴などが考慮されており、加重比率などは異なります。
生産者物価指数
生産者物価指数（PPI）は、国内の生産者が生産物に対して受け取る販売価格の変動を算出する経済指標です。PPIは、商品やサービスが個人消費者に届く前の生産者や卸売り段階での価格変動を示します。PPIは、経済におけるインフレの方向性を見通すための重要な経済指標です。
PPIは、原材料、生産工程の途中の商品、完成品など、幅広い商品・サービスの価格変動を表します。米国では労働統計局（BLS）が毎月算出し、他の国でも同様の機関が算出しています。
消費者物価指数（CPI）と同様、PPIは加重指数式で算出されます。加重は基準年の製品の出荷額に基づいており、通常100と設定されています。PPIの加重比率は基準年で固定され、原則変更はありません。
生産者レベルでの商品価格の変動は、販売価格やサービスの価格上昇によって消費者に転嫁されるため、PPIはインフレの先行指標としてよく利用されます。さらに、生産者物価の変化は需要や供給の状況の変化を示すことがあるため、PPIによって経済の方向性を俯瞰することもできるのです。
全体として、PPIは金融政策に関わる期間、企業、投資家にとって、物価動向を監視し、経済活動に関する情報に基づいた意思決定を行うために不可欠な経済指標といえるでしょう。
物価指数はFX市場にどのように影響するか
消費者物価指数（CPI）はFX市場に大きな影響を与える可能性が高い重要指標です。インフレ率の上昇は、各国の中央銀行がインフレを抑制するために政策金利を引き上げる要因となります。政策金利が高くなると、その国の通貨が買われやすくなります。
そのため、FXトレーダーはCPIの発表に注目し、中央銀行による政策金利の調整がどのようになるかを考えます。例えば、あるトレーダーが、インフレ率の上昇により中央銀行が政策金利を引き上げると予想したとします。その場合、その国の通貨の価値が上がることを見越して、「該当国の通貨を買う」動きになります。逆に、インフレ率が低下して政策金利が下がると予想した場合、「該当国の通貨が値下がりすることを期待して売る」という動きが多くなるでしょう。
マーケットの予想や期待値と実際の結果によって、CPIやPPIの発表で為替レートが大きく動くことがあります。自動売買やボット取引によって発表直後はボラティリティが激しくなり、通常の取引は困難となります。発表からしばらく待って、ボラティリティが収まってから取引を検討するのがベストです。
