Nick Goold
ダウ平均株価
先週のダウ平均株価は、特に中東情勢の悪化に伴う投資家のファンダメンタル悪化に直面しても、米株価の底堅さを見せつけるものとなった。中東情勢のリスクが上昇しているにも関わらず、ダウ平均株価は投資家の自信を反映し、プラスで引けた。注目したいのは、ダウ平均株価が3万3,000ドルのサポートラインに反応し上昇したことだ。サポートラインに反応したことにより、再度トレーダーが株式市場に参入してきた。この価格の動きに影響した要因の1つが米10年債利回りが下落したことである。米10年債利回りの下落は、金利上昇という株価の重しとなる材料を緩和することとなった。
中東紛争は引き続きファンダメンタルを悪化させているが、エネルギー株の上昇、トレーダーの様子見姿勢が、市場への影響を限定的にしている。生産者物価指数(PPI)や消費者物価指数(CPI)を含む米インフレ率は市場予想を上回った。これは米連邦準備制度理事会(FRB)が高金利を維持する必要があることを示唆しているが、将来の金利政策に関する市場の期待を大きく変えるものではなかった。
来週の相場展望としては、ボラティリティの上昇が予想される。火曜日に米小売売上高が発表されるほか、パウエルFRB議長をはじめとするFOMCメンバーの講演が週を通じて予定されている。原油価格の高騰は、地政学リスクの継続に伴い、引き続き大きな懸念材料となるだろう。その結果、ダウ平均株価が当面3万4000ドルの大台を超えて大きく上昇するのは難しいかもしれない。多くのトレーダーにとって、来週は不透明な相場環境のもと、売りチャンスを見極めることが重要となるだろう。
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日経平均株価
日経平均株価は、ドル円相場が150円近くまで回復したこともあり、4%以上の上昇を記録した。この動きは日本企業の収益に有利で、国際市場での競争力を高めると広く見なされている。日本当局は、ドル円の過度な上昇を防ぐために介入する用意があることを表明しているが、外国為替市場には積極的でないため、市場原理がより重要な役割を果たしている。
世界経済のニュースでは、国際通貨基金(IMF)が2023年の日本の経済成長率見通しを1.4%から2%に引き上げた。この上方修正には、需要の枯渇、インバウンド観光の復活、緩和的な金融政策、サプライ・チェーン制約の緩和(特に自動車輸出に恩恵)など、いくつかの要因がある。
日経平均株価は好調なパフォーマンスとなっているが、当面、現在の水準から大きく上昇するのは難しいかもしれない。このことを念頭に置くと、投資家やトレーダーは、来週はレンジ取引の機会を探す方がが適していると考えるかもしれない。このアプローチは、日経平均株価が直近の上昇、日経のパフォーマンスに影響を与える外部経済要因に適応するにつれて、市場が整理されたり、動きが限定的になったりする可能性があることを考慮したものである。
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