Nick Goold
FX取引戦略を持っていることは、エントリー・決済タイミングを決める重要な要素であり、トレーダーにとって最も重要な要素の1つといえます。トレーダーは誰でも成功したいと考えており、優れた取引戦略を用いてリスク管理をしながらマーケットへの参入機会を探します。
FXの取引戦略とは？
FX取引戦略には、3つの重要な要素があります：
- エントリールール
- ストップロス（損切り）のルール
- 決済のルール
この3つの要素がそろって、1つの「取引戦略」となります。
FXの取引戦略とは、市場に参入するタイミングと撤退するタイミングを選択するための手法であると言えます。しかし、FX取引のルールは固定するべきなのでしょうか、それとも、柔軟にルールを変更して使用するべきなのでしょうか。
ルールが固定されている「自動売買」のような売買戦略とは異なり、取引ルールを相場に適用させて柔軟に対処できるのが、裁量取引のメリットです。
取引戦略を構築しようとしているFX初心者の方は、最初にテクニカル分析とファンダメンタル分析について理解しましょう。
テクニカル分析
テクニカル分析は、価格と出来高のデータを使用してトレード判断をする分析方法です。テクニカル分析には、例えば、支持線と抵抗線、移動平均線のようなテクニカル指標などが含まれます。
ファンダメンタル分析
ファンダメンタル分析では、経済や金融のデータを使います。つまり、例えば、各国の金利政策が関連通貨の通貨価値にどのような影響を与えるかを分析するのであれば、それはファンダメンタル分析です。
FXトレーダーは、短期売買（特にデイトレード）を行う場合、テクニカル分析に基づいて取引戦略を立てます。テクニカル分析は、価格の値動きだけを用いるプライスアクション取引と、チャート分析やテクニカル指標を用いて、反転ポイントや買われ過ぎ・売られ過ぎを分析し、エントリーポイントや決済ポイントを決めるインジケーター取引に分類できます。
プライスアクション
プライスアクションは、トレード判断にテクニカル指標なしで価格チャートのみで取引する手法です。プライスアクション取引は、テクニカル分析の中でも最もシンプルですが、習得には経験が必要です。
メリットは、どの通貨ペア・銘柄であっても適用することが可能である点でしょう。ローソク足の形成や動き方を見て、反転パターンを見分けることができます。
例えば、トレンドの中に三角形や横ばい相場が出現した場合、その三角形やレンジが狭ければ、価格は元のトレンド方向に戻る可能性が高いといえます。一方、価格推移の範囲が広く、価格が乱高下するような場合は、価格が反転するか、少なくともトレンド方向への動きが止まる可能性が高くなります。多くのトレーダーはレンジを抜けるまで待ち、ブレイクすれば一気に相場が進む場合があります。
トレンドのパターン
トレンドの方向を見極めて、最適な価格帯でトレードすることは、トレンドフォローにとって必須となるスキルといえます。
上昇トレンドとは、安値が切り上がり、それに伴って高値も更新する一連の流れを指します。下降トレンドは、上昇トレンドの逆で、高値と安値が連続して下がることを指します。
どのトレンドであっても、一直線に進むのではなく、戻り高値や押し目安値を形成しながら、トレンドを形成していきます。
上昇トレンドをフォローする場合、エントリー注文は上昇トレンドラインの近くに、利益確定注文は高値同士を結んだトレンドラインの近くに置くのがよいでしょう。下降トレンドの場合は、下降トレンドライン付近で売り、安値同士を結んだトレンドラインを目安に決済するという戦略が効果的です。
その他、トレンドフォローの経験則として、トレンドを見る場合、長い期間よりも短い期間の方が、より反転する回数も多いというものがあります。例えば、5分足のトレンドは、日足のトレンドよりも早く反転する可能性があります。
インジケーター取引
テクニカル指標は、勢いや現在のトレンドの強弱の変化を示します。また、価格が買われすぎや売られすぎ水準にあるかどうかも判断でき、トレンドがん反転する兆候もテクニカル指標を分析することで判断できます。
一般的に使用される指標は、シンプルなものです： 代表的な指標は、移動平均線、MACD、RSIです。
移動平均線
移動平均線が人気の理由は、非常にシンプルな指標だからです。例えば、1本の移動平均線を使って、価格が上昇トレンドにあるか下降トレンドにあるか判断したり、2本の移動平均線の交差から短期または長期のトレンドの変化を読み取ることができます。例えば、50EMA（指数平滑移動平均線）や200日EMAは、日足チャートでよく使われる組み合わせです。50EMAが200EMAを上から下に抜けた場合、トレンドが終わったと判断する1つの材料となります。
MACD
MACD（Moving Average Convergence Divergence）は、2本の移動平均の差を測定し、価格チャートの下にヒストグラムまたはバーチャートとしてプロットします。MACDのバーが長ければ長いほど、トレンドが強いことを意味します。MACDの特徴は「ダイバージェンス」というシグナルがあり、これが効果的に機能する場合が多いです。ダイバージェンスとは、価格が高値を更新しているにもかかわらずMACDが切り下がっていくことです。これは、上昇トレンドが勢いを失い、価格の反転の兆候と判断できます。
RSI
RSI（Relative Strength Index）とは、価格変動の大きさを測定し、買われすぎや売られすぎの状態を知らせるモメンタム指標の1つです。RSIは0～100の範囲で推移します。買われすぎや売られすぎのレベルがどこに該当するかは、過去のRSIの推移から任意で決定できますが、一般的な買われ過ぎと売られ過ぎのレベル設定は、80と20、または70と30です。
また、RSIもMACDと同様にダイバージェンス指標として利用することもできます。例えば、価格が安値を更新してもRSIが安値を更新せず切り上がっている場合、下降トレンドの勢いが弱くなっていることを示します。。
FX取引戦略には多くの種類があり、全ての戦略を理解するには時間が掛かります。最初から多くの手法で取引しようとするよりも、1つの取引戦略をマスターする方がずっとよいでしょう。様々な戦略を練習し、テストして、自分の性格や目標に最も適した戦略を見つけましょう。
