Nick Goold
トレーダーは、マーケットの方向性を制御することはできません。トレーダーの中には、「マーケットは運次第」で、自分の思い通りに動いてくれることを、ひたすら願います。しかし、マーケットは個人の思惑とは全く関係なく動くため、この考え方は無意味です。
また、機関投資家などの大口トレーダーが相場を動かしていると考えているトレーダーもいます。しかし、この考え方にも誤りがあります。いくら大口トレーダーであっても、マーケットをコントロールできるのは数分に過ぎません。特に、為替相場は取引量が桁違いに大きく、1つの投資家が相場をコントロールするのは事実上不可能です。
トレードで成功するためには、自分がコントロールできるのは何かを理解する必要があります。自分のトレード計画に沿ってルールどおりに取引しても損失で終わることもあれば、たまたま運よく利益が出るということもあるのです。
最初に「マーケットをトレーダーがコントロールすることはできない」ことを理解します。そして、マーケットがどのように動くのかを意識するよりも、エントリーや決済までのプロセスを重視して、マーケットにどのようにアプローチするのかに意識を集中させるべきです。1回のトレード結果だけを見るのではなく、 1 ヶ月、半年、1 年、と長期的ナ視点で分析していきましょう。
トレーダーがコントロールできる要素
- 取引する時間帯
- 決済のタイミング
- どの銘柄を監視し、トレードするのか
- いつ手仕舞うか
- トレード全体のリスク
- 取引結果に対する感情
- トレードから何を学ぶか
- 事前のトレード計画
トレーダーは相場自体をコントロールすることはできませんが、自分の取引や相場へのアプローチの仕方はコントロールできます。相場はトレーダーの個人的な事情には一切配慮せず、淡々と動きます。自分の取引をコントロールすることで、予期しない相場の動きから自分の資産を守りましょう。
トレーダーの主な仕事は、以下の4つです。
- リスク管理
- トレード計画の作成
- トレードの実践
- トレードの振り返り
どのようにコントロールするか
トレーダーがコントロールできる重要な具体的な要素を考えてみましょう。
取引する時間帯
チャートを開くと、早くポジションを保有したいという気持ちに駆られ、衝動エントリーしてしまう可能性があります。しかし、エントリー前に相場をじっくり分析し、トレード戦略を考えましょう。
遠回りで面倒に感じるかもしれませんが、事前に入念にトレード計画を作成すれば、値動きに惑わされることがなくなります。取引する時間帯をコントロールすれば、衝動的なエントリーがなくなり、大きな損失を回避できます。
決済のタイミング
一旦ポジションを持てば、目の前で損益が激しく変動します。キャンセルはできません。トレーダーは、ポジションを「いつ決済するか」をコントロールできます。相場が変化したと感じたときやエントリー根拠が正しくなかったときは、一度ポジションを決済して、もう一度分析してみましょう。
また、含み損／含み益が発生しているタイミングで、重要な経済指標の発表が控えているときは早めにポジションを手仕舞いするのが正しい判断かもしれません。予測できないマーケットの急変によって、さらに大きな損失、あるいは利益を減らすことを防ぐことにつながります。
トレード全体のリスク
リスクコントロールは、トレーダーがコントロールできる要素の中でも特に重要です。1回のトレードでどのぐらいのリスクを取るのか、全体のポートフォリオのリスクはどれぐらいかなどを事前に把握しましょう。
リスクコントロールができているトレーダーは、オーバーポジションを回避することができるため、トレードが継続できないほどの大きな損失となる可能性が極めて低くなります。
取引結果に対する感情
勝ちトレードの後には興奮や幸福感に包まれる一方、負けトレードの後には気分が落ち込むことがあります。しかし、負けトレードになったからといって、過度に落ち込まないようにしましょう。1 回ごとのトレード結果は、リスク管理している限り重要ではなく、トレード計画に沿って行動できたかが重要です。プロトレーダーであっても、 100％勝ち続けることはありません。
どれだけ優れたトレード戦略であったとしても、負けトレードになるときがあります。選んだトレード戦略が有効に使える状況になった際に、ルールどおりにトレードすれば良いのです。
トレードから何を学ぶか
負けトレードは、トレードプロセスの改善方法を見つける最高の教科書です。
一方、利益を得て興奮し過ぎると自信過剰になり、トレード戦略に従う能力を低下させ、やがて大きな損失を招いてしまいます。 トレードでは結果に対して冷静さを保ち、結果ではなくプロセスに焦点を当てることが、長期的な利益につながります。
毎回のトレード結果を気にして、 次から次へとトレード戦略を変更することは、十分な検証結果が得られ ず、安定した成績を残すには逆に遠回りになってしまいます。一定期間は同じトレード 戦略を使い続けて検証していくこと が必要です。
トレード計画
トレード計画に沿って取引することは、トレーダーがコントロールできる大きな要素の1つです。トレードを始めたばかりであれば、自分のトレード計画に自信が持てないかもしれません。それでも、毎回の取引でトレード計画に沿ってトレードを継続すれば、改善点が見つかり、やがて自分に最適なトレード計画が構築されていくでしょう。
トレーダーによって相場へのアプローチは様々です。そのため、自分のライフスタイルや性格に合ったオリジナルのトレード計画を立てることが大切です。トレーダーによって強み・弱点は異なります。メンタルを整えるためにも、トレードが過度なストレスとならない勝率の高いトレード計画を構築していきましょう。
運に頼るよりも、トレード計画に沿って取引することが大切です。
振り返りと検証に基づいてトレードプロセスを構築し、そのプロ セスに従って取り組みます。 トレードプロセスを改善するため、 トレード結果から学ぶことでトレー ド結果は向上し、トレードがより楽しくなります。
これが、プロトレーダーへになるための最短方法です。
