Nick Goold
外国為替取引ではテクニカル分析ツールが主流ですが、ボラティリティ・インディケータを取り入れることで、トレーダーの外国為替市場に対する能力を大幅に向上させることができます。そのような指標の1つがVIX（ボラティリティ・インデックス）で、主に市場心理を測定し、外国為替市場の潜在的な動きについて貴重な洞察を提供することができます。VIXインディケーターが、より良いリスク管理と取引タイミングを可能にすることで、FX取引の改善にどのように役立つかを探ります。
VIXインディケーターを理解する
VIXは、しばしば「恐怖指数」と呼ばれ、予想変動率を測定するために株式市場でよく使われる指標です。一般的に数値が高いほど投資家が先行きに不安を持っているとされています。VIXは、シカゴオプション取引所がS&P500指数のオプションの値動きを基に算出されます。さらに詳しく言えば、S&P500指数先物オプション取引の「インプライドボラティリティ」をベースに計算されています。株式市場が高いレベルの不確実性、恐怖、または価格変動が大きくなるとの予想がある場合、オプションの需要は高まる傾向にあります。
この需要の高まりがオプション価格の上昇につながり、それがVIXに反映されます。逆に、市場心理が穏やかで、価格変動が大きくなるとの予想が少ない場合は、オプションの需要が減少し、オプション価格が下がり、VIXの数値も下がります。
VIXは、投資家の市場変動に対する予想を反映しており、数値が高いほど予想される変動が大きいことを示し、その逆もまた然りです。VIXは通常10〜20（パーセント表示）の間を行き来するというのが一般的な考え方です。40以上になるとパニック状態となり、いろいろなニュースサイトやブログ記事、SNSで話題になります。このようなときは逆方向の動きに警戒しておきましょう。
VIXは株式市場に関連するものですが、VIXの動きを意識することは、FXトレーダーが市場全体の状況を把握する上でも役立ちます。株式市場と為替市場は密接に関連しているため、株式市場のボラティリティの変化は、為替市場に大きな影響を与える可能性があります。
VIXインディケーターをFX取引に応用する
VIXは、以下のような4点でFXトレーダーにとって貴重なツールとなります。
市場センチメントとリスク認知
VIXは、市場のセンチメントとリスク認識に関する情報を提供します。VIXが低い場合、穏やかで次の展開を模索するような市場環境を示唆し、GBPUSD、AUDUSD、CADUSDなどのリスクの高いFXペアが上昇する可能性が高いことを示します。逆に、VIXが高い場合、市場の不確実性とボラティリティの上昇を反映し、日本円、スイスフラン、時には米ドルなどの安全な避難通貨が需要を高める結果となります。
FXトレーダーは、VIXをモニターすることで市場全体のセンチメントを測定し、それに応じて取引戦略を調整することができます。VIXが高いときは、市場が不安定な状態であり、価格が一方向に大きく動くときにトレンドに逆らって取引する機会を探せば、利益を上げることができます。また、VIXが低いときは、市場が新しいトレンドに入る可能性が高いので、ブレイクアウトに従うことが最良の戦略となります。
リスク管理について
VIXは、リスク管理を向上させるための有用なツールです。VIXが上昇した場合、市場のボラティリティが高く、潜在的なリスクレベルが高いことを意味します。このような期間には、トレーダーはポジションサイズを小さくしたり、ストップロスやテイクプロフィットのレベルを広げたり、レバレッジをより慎重にかけたりすることを検討します。VIXは、市場の不確実性が高まっているときに、慎重な行動をとり、資本を保護するための警告サインです。
VIXが低い状態が長期間続くと、トレーダーの中にはリスク管理に満足し、大きなポジションを取引し、損切りすることを避ける人もいます。
ボラティリティが上昇すると、このようなトレーダーは災難に見舞われる可能性があります。
トレードのタイミングと確認
VIXは、トレードタイミングの確認に役立ちます。低ボラティリティの期間が続いた後にVIXが急上昇した場合、市場の状況が変化する可能性を示すことがあります。FXトレーダーは、この情報を使ってエントリーやエグジットを予測し、市場の反転やブレイクアウトの可能性に合わせて取引を行うことができます。VIXを支持線、抵抗線、チャートパターンなどの他のテクニカル分析ツールと組み合わせることで、さらなる確認ができ、取引の精度を高めることができます。
・ダイバージェンス分析
ダイバージェンス分析は、VIXとFXペアの値動きを比較するものです。ダイバージェンスは、VIXとFXペアの価格が反対方向に動くときに発生します。例えば、VIXが上昇し、通貨ペアの価格が下落している場合、反転や調整の可能性を示唆する可能性があります。トレーダーは、VIXと通貨ペアのダイバージェンス分析を利用して、潜在的な取引機会を特定したり、既存のポジションを管理したりすることができます。
VIXをFX取引の判断材料に取り入れることで、市場心理、リスク認識、潜在的な取引タイミングについて貴重な洞察を得ることができます。VIXを監視することで、トレーダーはリスク管理を強化し、ポジションサイズを調整し、市場の反転やブレイクアウトの可能性に合わせて取引を行うことができます。VIXは他のテクニカル分析ツールやファンダメンタルズ要因と組み合わせることで、取引判断をさらに強化することができます。
