Nick Goold
ダウ平均株価
米10年債利回りの急騰により2007年以来の水準となる5%台に達し、金融市場を警戒させ、ダウ平均株価は年初来マイナスに転じた。この利回りの上昇は、インフレとその金融政策に影響するのではないかという懸念の高まりを浮き彫りにしている。さらに、米商務省が発表した10月の小売売上高が予想外の0.7%増(予想のほぼ2倍)となったことで、こうした懸念はさらに強まり、金利上昇の長期化を示唆する結果となった。
リッチモンド連銀のトーマス・バーキン総裁はワシントンの不動産会議で、需要の減速とインフレの冷え込みに懐疑的な見方を示し、市場の不安に拍車をかけた。さらに、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言が市場の不安を促した。パウエル議長は、現在のFRBの政策が景気を後退に追い込む兆候はないとしながらも、今後の利上げの可能性を否定せず、不透明な経済情勢の中でFRBが慎重な姿勢を示していることを示した。
株式市場の反応は債券市場の動きに大きく影響され、特に30年固定住宅ローン金利が8%の大台に乗り、2000年当時の金利を連想させた。これは住宅市場や消費者心理全体にさらに影響を与える可能性がある。ダウ平均が弱含みで推移するなか、重要なインフレ指標である米GDPコアPCE価格指数が注目されている。市場心理は、今週は弱気な展開が予想される。
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日経平均株価
日経平均株価は、米国株式市場の流れを受け、短期上昇トレンドを崩した。日本株の重石となっているのは長期金利の上昇である。特に10年債利回りは0.83%と、約10年ぶりの水準に上昇し、1週間前の0.76%から上昇した。このような利回り上昇の状況は、米国の動向と呼応しており、近い将来、日経平均にさらなる下落圧力をかける可能性がある。
日本の株式市場の懸念に拍車をかけているのが、人件費の上昇である。インフレが定着するにつれ、生活費の上昇に見合った賃上げを求める声が高まっている。こうした声は日本労働組合総連合会(連合)にもある。連合は2024年の「春闘」交渉で5%以上の大幅賃上げを要求する構えだ。このような賃上げが実施されれば、企業収益に影響を与え、株式心理に影響を与える可能性がある。
このような動きの中、為替市場も休む暇がない。ドル円(USDJPY)は引き続き狭いレンジ内で取引され、150円の抵抗線の下値で推移しており、過去のように日経を押し上げることはできない。日経平均は現在売り圧力下にあり、10月初旬の安値を再び更新する可能性がある。したがって、短期的な売りに重点を置いた慎重なアプローチが、今後1週間の戦略と思われる。
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