石田 和哉
3月第1週の米国市場は最高値からは10%の下落と軟調相場で推移しているが、週末の米国市場は前日比+572.16ドルと反発する形で3月第1週を終える展開となった。
5日に発表された米国雇用統計は市場予想の18.2万人増を大幅に上回る37.9万人増となった事で米国市場は500ドルを超える上昇となった。
前日にFRBのパウエル議長が発言した「景気が回復するまで現行の緩和的な政策を維持する」と述べたことによる、利回り上昇に対する懸念発言を期待していた市場が肩透かしを食らう形となり大きく値を下げる展開からの上昇と連日上下を繰り返す米国市場は荒い値動きとなっている。
また、米国議会上院で始まった1兆9000億ドル規模の新型コロナウイルス追加経済対策法案の審議が始まったことも材料となっているようだ。米国債の長期金利は一時1.62%まで上昇したが、雇用統計を受けた市場が景気回復に期待をした買いが入ると次第に値を下げ、1.5%台半ばでの推移となっている。
(https://www.marketwatch.com/より)
3月第2週の注目ポイント(経済指標)
時間表記:日本時間
3月9日(火)
08:50 日本10-12月期四半期実質国内総生産(GDP、改定値)(年率換算)
08:50 日本10-12月期四半期実質国内総生産(GDP、改定値)(前期比)
19:00 EU10-12月期四半期域内総生産(GDP、確定値)(前期比)
19:00 EU10-12月期四半期域内総生産(GDP、確定値)(前年同期比)
3月10日(水)
22:30 米国2月消費者物価指数(CPIコア指数)(前月比)
22:30 米国2月消費者物価指数(CPI)(前月比)
22:30 米国2月消費者物価指数(CPIコア指数)(前年同月比)
22:30 米国2月消費者物価指数(CPI)(前年同月比)
24:00 カナダ銀行 政策金利
3月11日(木)
21:45 EU欧州中央銀行(ECB)政策金利
22:30 EUラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、定例記者会見
3月12日(金)
16:00 イギリス1月月次国内総生産(GDP)(前月比)
22:30 カナダ2月失業率
22:30 カナダ2月新規雇用者数
日米市場
日米市場ともに3月17日の米国FOMC、3月19日の黒田東彦日銀総裁記者会見を前にしていることや米国債利回りの動きへの警戒や週末のメジャーSQを前にしていること等もあり市場は膠着感の強い展開となりそうだ。
10日の米国2月消費者物価指数にも注目が集まると思われ、過大とされる財政支出の影響インフレ加速の懸念、それらを反映した米国債利回りの金利上昇という事はしばらく懸念材料として意識されそうだ。
消費者物価指数の数字次第ではあるが、相場が不安定、心理的に不安を感じている時分に良い数字、悪い数字が出ると過剰に反応し、FOMC、日銀総裁記者会見前に過剰反応を示す相場となる場合もあるので諸々の経済指標の数字には注意したいところだ。
(データ参照:https://www.bls.gov/)
欧州市場
各国のインフレ率動向
欧州統計局(https://ec.europa.eu/eurostat/より)
欧州市場は1週間で0.91%の上昇となっており、米国債利回りを巡る日米市場の混乱からは一線を画す動きをしている。コロナウイルス感染症による経済活動の停滞・停止による痛手から経済が徐々に回復していくとの見方が市場を底支えしている。
その欧州市場では11日に欧州中央銀行定例理事会があり、金利上昇に対してどのような発言がなされるのかに注目が集まっている。
金利上昇を牽制する発言があれば、市場は安堵し上昇に転じる可能性が。金利上昇を容認する発言があれば、市場は資金の流出懸念から下降に転じる可能性が。
インフレ動向や金利の動きに過敏になっている市場にとって、実体経済の動向を示す経済指標の発表には敏感になりそうだ。
今週の為替(ユーロ/円)
ユーロ円 週足
ユーロ円の週足は丁度、上値を抜けた部分である。現在の価格は高値を100%、安値を0%とした場合の61.8%の位置にあり、一旦のもみ合いとなって、再度の上昇となれば137.600までの上昇となる可能性がある。もみ合い後の抜けとなれば波動論上の4~5波となりそうだ。
ユーロ円 4時間足
ユーロ円の4時間足は三角持ち合いの形成となっている。良い形で収束すれば、そこからの抜けで力強い展開となりそうだ。上に跳ねる可能性が比較的高い形ではあるが、上下どちらに抜けるのか不透明でもあるので、上下での待ち伏せがよさそうだ。20Pips程度、ラインから外した部分での待ち伏せを。画上で言えば赤いライン外側辺りでの待ち伏せを行いたい。
ユーロ円 5分足
ユーロ円5分足では129.20付近を抜ければ129.25~30までの10Pips程度の買いサインは出ている。129.25-30辺りは直近の高値安値の50%~61.8%であり、ここから上昇した場合は意識をされそうだ。129.25-30付近で一旦、もみ合ったあとに再度の上昇となれば129.50迄の前戻しの可能性もでてきそうだ。