石田 和哉
6月1週の米国市場は底堅い展開となった。
米国株式市場は米国雇用統計が市場予測の65万人に対して55.9万人と市場予想を下回る展開となったが、FRBへの緩和縮小に動く可能性が後退した事で反発する展開となった。
米国の非農業部門雇用者数は新型コロナ禍前の760万人を下回っており、米国の労働市場の回復にはまだ時間がかかる事は労働人口が経済回復に追い付いていないという好材料となる事が繰り返し起こっている。
労働人口不足は過剰ともいえる失業給付金が原因であり、コロナ禍による特別加算による給付額は週600ドル超と労働意欲を削いでしまう悪循環が雇用統計の数字となって表れている。
失業給付金の特別加算が順次打ち切られる流れが出始めており、それが雇用統計に追い風となるのかどうか、それらによってFRBの緩和縮小が市場の憶測として観測されるのかに注目していきたいところだ。
(S&P500、ナスダック推移)
(Bloombergより)
6月第2週の注目ポイント(経済指標)
時間表記:日本時間
6月8日(火)
08:50 日本1-3月期四半期実質国内総生産(GDP、改定値)(前期比)
08:50 日本1-3月期四半期実質国内総生産(GDP、改定値)(年率換算)
18:00 ユーロ1-3月期四半期域内総生産(GDP、確定値)(前年同期比)
18:00 ユーロ1-3月期四半期域内総生産(GDP、確定値)(前期比)
6月10日(木)
20:45 ユーロ 欧州中央銀行(ECB)政策金利
21:30 米国5月消費者物価指数(CPI)(前年同月比)
21:30 米国5月消費者物価指数(CPI)(前月比)
21:30 米国5月消費者物価指数(CPIコア指数)(前年同月比)
21:30 米国5月消費者物価指数(CPIコア指数)(前月比)
21:30 ユーロラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、定例記者会見
6月11日(金)
15:00 イギリス4月月次国内総生産(GDP)(前月比)
日米市場
米国市場は先週から継続してインフレ懸念が懸念される展開は続くものの、底堅い展開が続きそうだ。OECDが米国の成長率予想を6.9%に上方修正するなどしているが、4月30日に発表された米国家族計画などは織り込まれておらず、更に高い水準となる可能性もある。
日本市場はもみ合いが続いているが、トヨタ自動車が高値を更新し続けるなど、実に14社が上場来高値を更新している事から底堅い展開では推移しそうだ。
トヨタ自動車
(Thomson Reuters より)
欧州市場
欧州株式市場は過去最高値を更新して週を終えている。輸出が好調に推移していることが経済回復、特に製造業の回復をけん引しており、個人消費の回復も市場を押し上げる要因となっている。英国では活動制限が緩和されたことで景気が急回復、EUでも段階的に緩和措置が取られるなどしており、秋にかけて成長ペース、回復ペースも高まりそうだ。
今週の為替(EUR/JPY)
EURJPY 日足
EURJPYの日足ではトレンド継続となっている。ピンク色の四角枠で見ると上昇トレンドとなりダウ理論上の切り上げが続いている。ダウ理論の形は少し縮小した形、ジグザグが小さくはなっているが上昇トレンドは継続となっており、直近の四角枠、高値を更新するようであれば上昇継続となる。 ここからのシナリオとしては切り下げが行われ始めるという事が最も都合の良いシナリオであり、どこかで高値の更新が止まり、安値の更新が短いスパンになりつつ、下値を切り下げるという流れへと変化する部分を見つけ出していくという流れとなりそうだ。すぐに下降にはならないが、いずれ高値を切り上げず、安値を切り下げ~という流れは発生すると思われ、大きな転換へのつながる初動をしっかりと見定めたいところだ。
EURJPY 4時間足
EURJPYの4時間足はピンクの四角枠、日足での高安値の切り上げの中で青い四角枠の上昇の流れが起こっているが、白線の下値抵抗線をした抜きつつあることから、赤いラインを下抜けることがあればダウ理論上での切り下げと転換する可能性も出てきている。 判りにくいが、赤のラインを抜ければ下降トレンドに入る可能性あるという事を念頭に置き、下抜ければ日足でのピンクの四角枠の下値、チャート上の一番下部にある枠までの下降が生まれるという可能性を頭の隅にいれて売買に臨みたい。すでに下値抵抗線を抜けていることから、下降トレンドの可能性が強いことが考えられる。