石田 和哉
9月4週の米国市場は中国の不動産大手、中国恒大集団の債権問題や米FOMCなどを受け不安定な展開となっていたが、市場は小幅に値を上げる展開で週を終えている。
中国では暗号資産の取引とマイニングが全面的に禁止されるとの報道を受け(10機関)仮想通貨やマイニング関係の株価は値を下げる展開に、業績の見通しと年末のクリスマス商戦に製品の輸送や生産に遅延が遅れる可能性があると発表したナイキも値を下げる展開となった。
チェリー・レーン・インベストメンツのパートナー、リック・メクラー氏は「金利が低水準にとどまり、財政刺激がいずれ実施されることで、株式は引き続き選好されると予想する」。
スパータン・キャピタル・セキュリティーズのチーフ市場エコノミスト、ピーター・カーディヨ氏は「振れの激しい1週間だった。来週は9月最終週、第3・四半期末となるため、高ボラティリティーが継続する公算が大きい」。とそれぞれ述べるなど、市場にとって大きな値動きへと転化する可能性を常にはらんだ展開は続きそうだ。
バイデン大統領に掲げる政策、大型歳出法案、インフラ投資法案を巡っての進展にも注目したいところだ。
Bit Coin chart
(CoinDeskより)
9月第5週の注目ポイント(経済指標)
時間表記:日本時間
9月30日(木)
15:00 イギリス4-6月期四半期国内総生産(GDP、改定値)(前年同期比)
15:00 イギリス4-6月期四半期国内総生産(GDP、改定値)(前期比)
21:30 カナダ7月月次国内総生産(GDP)(前月比)
21:30 カナダ7月月次国内総生産(GDP)(前年同月比)
10月1日(金)
08:50 日本7-9月期日銀短観・四半期大企業製造業業況判断
18:00 ユーロ9月消費者物価指数(HICPコア指数、速報値)(前年同月比)
18:00 ユーロ9月消費者物価指数(HICP、速報値)(前年同月比)
21:30 米国8月個人消費支出(PCEコア・デフレーター、食品・エネルギー除く)(前年同月)
21:30 米国8月個人消費支出(PCEコア・デフレーター、食品・エネルギー除く)(前月比)
21:30 米国8月個人消費支出(PCEデフレーター)(前年同月比)
23:00 米国9月ISM製造業景況指数
日米市場
米国市場は引き続き方向性の乏しい、さえない展開となりそうです。
景気への警戒感、バイデン大統領の掲げる経済対策の議会審議をめぐる展開に注目が集まっており、中国政府による暗号通貨のマイニングと取引の全面禁止や中国恒大集団のデフォルトの可能性などが重石となりそうです。
日本市場は過熱感が意識されつつある相場ではあるものの、外国人投資家は買い越しに転じており、逆張りの姿勢を見せる個人投資家とのやり取りに注目をしたい所となっている。
(中国不動産大手 恒大集団 香港)
(Reutersより)
欧州市場
欧州市場は3週続けての続落となっている。
ECBが経済・物価見通しを引き上げた事で内需関連株が底堅い展開となったが、中国の経済指標や中国不動産大手の恒大のデフォルト危機などで中国経済先行き不透明感が強くなり企業の業績悪化が波及するのではという憶測も強くなっている。
それらの問題を受けて値を下げている輸出系銘柄とコロナウイルス感染症による経済活動の緩和を受けた娯楽・旅行・小売業などで株価に明暗の差が出ている格好だ。
上値は抑えられており、引き続き中国恒大集団の行方には注目といったところだ。
(中国不動産大手 恒大の株価推移)
(Bloombergより)
今週の為替(GBP/USD)
GBPUSD 日足
GBPUSD日足では上昇トレンドが終局を迎え転換を行っている最中となっている。
上値が切り下げられて来たが、下降トレンドとなるには図中のオレンジの線を超える必要があり、青線で囲んだ三角持ち合いともいえる展開からの抜けの可能性は十二分にありそうだ。
抜けた場合には下降トレンドの形成から38.2%~61.8%までの下降の流れが生まれる可能性がある。
中国恒大集団のデフォルトの問題が欧州経済に影響を与える可能性は強くあり、デフォルトの有無次第では勢いがつく可能性もあるので、耳を澄ませてトレードを行いたい、ところだ。
抜ければ売り目線、抜けきれなければズルズルとした展開となりそうです。
GBPUSD 1時間足
GBPUSDDの1時間足ではトリプルボトムの形成となっている。
上位時間足では三角持ち合いの中でのもみ合いとなっていることから一時的な戻りが発生すると考えられる。
トリプルボトムの形成の詳細条件ともいえる、1つ目の安値を2つ目の安値が切り下げ3つ目の安値が2つ目の安値を切り上げるという、2つ目の安値があまた1つ抜ける形と異なっており、勢いとしてはいまいちとなる可能性もある。
上位時間足の形から上値は限定的となる可能性もあり、世界情勢の変化、ここ直近では中国恒大集団のデフォルトの可能性などが出てきた場合にはトリプルボトムでの推移とならない可能性もあるので注意したいところだ。
上位の時間足の推移を見ながら、買い目線と考え、世界情勢を見ながらいつでも決済できる姿勢で挑みたい。