石田 和哉
10月1週の米国市場は注目されていた米国雇用統計が市場予想を下回った事から市場は小幅に値を下げる展開となった。
米国労働省の発表した9月の雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比19万4000人増と市場予想の50万人を大きく下回った。
一方で失業率は4.8%と、8月の5.2%から改善し、1年半ぶりの水準となる事で市場の反応もまちまちとなった事で市場は小幅に値を下げる展開となっている。
BKアセット・マネジメントのマネジングディレクター、キャシー・リエン氏は「11 月のテーパリング開始に向け、ずば抜けた雇用統計の内容は必要でないとFRBは明確にしている」と発言し、テーパリングの始動に関して言及を行った。
週明けから第3四半期の企業決算シーズンが始まる事から、市場では上下に振れやすい相場展開が続きそうだ。
米国失業率推移
(Bloombergより)
10月第2週の注目ポイント(経済指標)
時間表記:日本時間
10月13日(水)
21:30 米国9月消費者物価指数(CPI)(前月比)
21:30 米国9月消費者物価指数(CPIコア指数)(前年同月比)
21:30 米国9月消費者物価指数(CPIコア指数)(前月比)
21:30 米国9月消費者物価指数(CPI)(前年同月比)
27:00 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨
10月15日(金)
21:30 米国9月小売売上高(前月比)
21:30 米国9月小売売上高(除自動車)(前月比)
日米市場
米国市場は雇用統計が市場予想を大きく下回ったものの、小幅に値を下げる形となっているが、米国国債入札や米FOMCの発表なども控えており、金利の引き上げが行われるのかどうか、債務上限問題は先送りされるなかで全体の流れとしては方向性分かりにくい展開となっている。
米国では第3四半期の決算も行われることから、方向性の見えにくい展開は続きそうだ。
日本市場では週間で大きく値を下げた日本市場が米国政府の債務不履行問題が回避されたこと、雇用統計への期待などから大きく値を戻しており、ここで底堅い展開が継続できれば再度の日経平均30,000円も見えてきそうだ。
(米国雇用統計 推移)
(Bloombergより)
欧州市場
欧州市場では企業業績改善の勢いが弱りつつある事がストック欧州600指数の1年予想EPSが8月下旬より下降傾向になった事、中国問題を半導体供給不足の懸念なども浮上した事で市場は下降へと転じつつある。
経済指標ではユーロ圏消費者物価指数は上昇ペースが強くなっており、9月のユーロ圏景況感指数は2か月ぶりに上昇、今後3か月の販売価格期待指数でも上昇基調が続いている事から、良し悪しの入り乱れる経済指標は市場の方向性を見えにくくしている。
欧州600指数推移
(https://qontigo.com/より)
今週の為替(AUD/CAD)
AUDCAD 日足
AUDCAD日足では下降の流れが一旦、値を戻す形となっており、ここからの上下どちらへと推移するのかの分かれ目となっている。
直近の安値が0.91030付近で、高値が0.93800付近である事から
売り目線 0.90800付近を抜ければ
買い目線 0.93950付近を抜ければ
となっている。
売り目線の場合には図中の赤い矢印の流れとなり、0.87900付近までの下降
買い目線の場合には図中の青い矢印の流れとなり、0.96500付近までの上昇
がそれぞれ見込まれそうだ。
AUDCAD 1時間足
AUDUSDの1時間足は図中の青い線が下値抵抗線と上値支持線の両線となっている。
上値支持線を今回の流れで超えた事で下値支持線へと青線が変化しておいる。
以前の大きな流れと今回上値を受けた後の流れはともに下降となっているが、前回の流れのような大きな下落が発生するのかどうかは上位時間足の動き次第となっている。
日足で説明した買い目線となる動きが青線が上値抵抗線から下値支持線への変化をもたらしたが、売り目線の可能性も十分ある事から上位時間足とは異なり、少し分かりにくい形を形成している。
直近の高値を抜ければ上昇に転じるが、その場合には日足での判断でも十分だと思われる。