石田 和哉
10月2週の米国市場は第3四半期決算の決算発表にて米金融大手のゴールドマン・サックスの決算で利益が66%の増加と市場予想を大幅に上回った事、金融大手の四半期決算が軒並み堅調に推移した事で銀行株が上昇、市場をけん引する形で推移した。
米国クリスマス商戦、年末に向けて商品の品薄、原材料不足からの供給不足による小売り売上高への影響する懸念が強くなりつつある。
9月の米小売売上高は+0.7%と市場予想の‐0.2%を上回る形となったが、価格上昇を背景にした自動車販売店の売り上げ拡大が原因と見られ、GDPの1/4が消費される米国年末商戦での商品供給不足の懸念が現実のものとなれば、市場は上値を抑えられる可能性もありそうだ。
米国ダウ市場推移
(Morningstar、googleより)
10月第3週の注目ポイント(経済指標)
時間表記:日本時間
10月18日(月)
11:00 中国7-9月期四半期国内総生産(GDP)(前年同期比)
11:00 中国7-9月期四半期国内総生産(GDP)(前期比)
10月20日(水)
18:00 ユーロ9月消費者物価指数(HICPコア指数、改定値)(前年同月比)
18:00 ユーロ9月消費者物価指数(HICP、改定値)(前年同月比)
10月22日(金)
08:30 日本9月全国消費者物価指数(CPI)(前年同月比)
08:30 日本9月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食料品・エネルギー除く)(前年同月比)
08:30 日本9月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く)(前年同月比)
日米市場
米国市場は雇用と年末商戦の品不足に懸念が残っているものの、米国金融大手の決算が好調であった事、FRBによるテーパリングが11月にも踏み切るのではという憶測が強くなっている事で決算では上昇だがテーパリングの可能性では上値を抑えるという方向性の見えにくい展開が続きそうだ。
日本市場は選挙期間となる日本市場では材料の出やすい状況になると思われる。
10月14日に衆議院解散と選挙期間に入るとされてから与野党入り混じっての政策論争などが行われており、市場にとっては追い風となりそうだ。
中国では恒大問題がまだ燻っており、利払い期限を迎えてどのような展開となるのか注目となっている。
(上海株式市場推移)
(Reutersより)
日本市場で注目される選挙
第49回 衆議院総選挙
10月19日公示 10月31日投開票日となった、第49回 衆議院総選挙だが選挙前の議席数は与党が305議席、野党が157議席となっている。過半数は233議席となっており、与党が233以上をどこまで死守できるのかが注目となっている。
(選挙.comより)
与野党が一斉に給付金などの公約を打ち出しているが、人気取りのための給付金が話の大半を占めており、コロナ禍後の政策の話、今後、可能性のある第6波への対策の話は今のところ出てきていない。
選挙が進むにつれ、どの様な経済対策を行うのか、ワクチンの接種が進む中での経済対策や6波が出たときに再度の自粛要請、緊急事態宣言を行うのか、どこまで人の流れを抑止する政策が解除されていくのかなど日本市場はここ2週間、選挙の推移には注目といったところとなっている。
第6波、今後の経済対策をしっかりと明言できる政党が出てくるのかどうか、人気取りに終始してしまうと次の感染拡大時に後手に回ることになりかねない事から、与野党の政策には注意したいところだ。
欧州市場
8月のドイツ鉱工業生産は減少傾向にあり、主要産業である自動車生産と受注が大きく落ち込むなど市場は上値の重い展開となっている。
世界的な半導体不足、供給網の混乱が影響を与えており、ストック欧州600は値を戻しているものの、本格化する欧州主要企業の7-9月期決算がどのような数字となるのかに注目となっている。
コロナ禍の影響を最も受けた昨年比では大きく伸びることは確実ではるが、伸び率の鈍化が示される様であれば上値の重い展開に転化しそうだ。
ストック欧州600はすでに上値を抑えられる展開となっており、ここから値を戻せるのか注目したいところだ。
ドイツ鉱工業生産 推移
(https://tradingeconomics.com/germany/industrial-productionsより)
今週の為替(GBP/CHF)
GBPCHF 日足
GBPCHFの日足で見た場合緩やかな下降とはなっているが、直近では上値付近でのもみ合いとなっている事、青いラインが八の字を描きチャートの先行きがかなり分かりにくくなっていることなどから、オレンジ線を意識した推移に変化すると思われる。
オレンジ線1が直近の安値、3が高値として意識されており、1を抜ければ2へと、3を抜ければ4へと推移すると考えられる。
3と4、現在の価格より上値に引いたラインはすでに青いラインを超える位置にあることから3を抜けて4へと至る流れとなった時には上昇へと転換する可能性もありそうだ。
とはいえ、青ライン、八の字を描いている下降、フラッグ相場は上値を抜けても上昇余地はそれほどではないと思われ、1を抜けて2に至る下降継続の方が可能性としては強くありそうだ。
GBPCHF 1時間足
GBPCHFの1時間足は長い期間で見た場合はオレンジ線1、3の上下の価格を意識したレンジ相場ともいえる展開となっている。
中央で意識されている価格が少し上にあるが、レンジ相場での推移となっており、短期間で見た場合には青いライン間での推移、青1を抜けての上昇となっている。
青ラインの上部を抜けてくればオレンジ3の高値のラインにまで到達可能性はあるが上値が重いようであればレンジ相場継続という事で売りが入る可能性がある。
あくまで1時間足という事もあり、上位時間足での推移には注意して売買を行いたい所だ。