石田 和哉
米国市場は12月の米国雇用統計の非農業部門雇用者数が前月比19.9万人増と市場予想の40万人増を大幅に下回る形となった。
一方で失業率が22か月ぶりの低水準3.9%と先月の4.2%から改善、平均賃金も0.6%の上昇となった事を受け、市場予想自体は下回ったが、相場への影響は最低限度となる形となっている。
ステートストリート・グローバル・アドバイザーズ(ボストン)のチーフインベストメントストラテジスト、マイケル・アロン氏は「投資家が注目したのは、非農業部門雇用者数が予想を下回ったにもかかわらず、労働市場は引き続きタイトであり、FRBが予想以上に積極的に引き締めに動くことを懸念している」と述べる等、市場予想を下回ったにも関わらず市場は悪材料となっておらず、良い材料には好反応、悪い材料には無反応が相変わらず続いている。
(米国失業率推移)4.2%が3.9%へと改善した。
(The Balanceより)
1月第2週の注目ポイント(経済指標)
時間表記:日本時間
1月11日(火)
24:00 米国パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、発言
1月12日(水)
22:30 米国12月消費者物価指数(CPI)(前月比)
22:30 米国12月消費者物価指数(CPIコア指数)(前年同月比)
22:30 米国12月消費者物価指数(CPIコア指数)(前月比)
22:30 米国12月消費者物価指数(CPI)(前年同月比)
1月14日(金)
16:00 イギリス11月月次国内総生産(GDP)(前月比)
22:30 米国12月小売売上高(前月比)
22:30 米国12月小売売上高(除自動車)(前月比)
日米市場
米国市場は米国効用統計の数字が市場予想を大幅に下回ったものの、失業率と平均時給の改善が底支え、好材料として捉えられ市場への影響は最低限で済んでいる。
11日のパウエル議長の発言や14日の小売売上高の数字を注目する関係者も多くおり、好材料が出るまでは静かな展開に、悪材料が出た場合には何かしらの言い訳で市場はそれ程値を下げずに次のイベントを待つ流れとなりそうだ。
日本市場は米国雇用統計の影響がそれほどなかったことから静かな展開にはなりそうだが、日本が祝日となる10日の欧米市場の展開次第ともいえそうだ。
(Nikkei225)
(Yahoofinanceより)
欧州市場
欧州市場ではインフレの高進や新型コロナウイルス感染症の急拡大への懸念が市場の重石となっている。
フランスでは1日で23万人余、英国で17.6万人余、イタリアで14.4万人余などと欧州では1日での感染者数が100万人近くと感染の急拡大が起こっている。反面、1日当たりの死者数は11月25日に付けた6,111人から1月6日の3,272人と半減している。
死者数は少ないが、感染者数がさらに増加すればそれなりの死者数、病床の圧迫による経済活動への影響が出ると思われる事から感染者数のさらなる増加などには注意したいところだ。
(英国でのコロナ感染状況)
(Reutersより)
今週の為替(GBP/USD)
GBP/USD 日足
GBPUSDの日足は大きく上昇した後に値を下げていたが、米国市場動向などを受けて値を戻す展開となっている。
値を戻し始めた価格が高値安値の38.2%であった事から、ここからの大きな下降は考えにくい形となっているが、仮に38.2%を再度、下回った場合には50%までの下降の可能性はありそうだ。
形状的には戻しの形となっている事から上昇でのエリオット波動形成を待ちたいところだ。
GBP/USD 4時間足 パターン1
パターンがいくつか考えられる形となっている。
エリオット波動の1~5波がすでに形成されており、現在の戻りがa-c波と捉えられる場合には図のようになっており、ここから価格を下げて移動平均線に接触するようであればそこから再度、波動論の1~5波を形成する形となりそうだ。
パターン1の場合には4時間足での大きな流れは下降トレンドであり、c波の頂点が直近の高値を抜けない限りは下降トレンドが継続となる。
上位時間足上での少しした戻りであっても4時間足では値動きが出る場合があるので上位の時間足の方向性などに留意して売買を行いたいところだ。
GBP/USD 4時間足 パターン2
GBP/USD4時間足のパターン2はエリオット波動の1-3波が発生したと見て4~5波の流れに乗る形となっている。
パターン1との差はエリオット波動のa-c波と見た場合(パターン1)には1-5波で調整が早い段階で行われる。
パターン2では4-5波の形成後に調整が行われる事から多少の時間的な猶予がある。
と言う差となっており、パターン1、2どちらでも売買には支障はない。
上位時間足の動きを見て調整が入るのかどうか、失速するのかどうかなどに注意を払いたいところだ。