石田 和哉
「ウクライナ協議で一定の進展があった」とロシアのプーチン大統領が発言したことを受けて株価は上昇して寄り付いたものの、ウクライナ情勢の不透明感が重石となり、上昇を維持出来ずに市場は値を下げる展開となった。
ウクライナのゼレンスキー大統領が11日、ウクライナがロシアとの戦争で「戦略的な転換点」を迎えたと表明し、ロシアが徴集兵やシリアの傭兵を使って侵略をてこ入れしようとするなど、ウクライナ情勢は混迷を深めている。
ウクライナ情勢をめぐる展開の中で小麦や原油価格が高騰しており、11日に発表された3月ミシガン大消費者信頼感指数は2011年9月以来の低水準となるなど、ガソリン価格などウクライナ情勢の影響が数字となって表れている。
何が起こるのかが想定できず、リスクを回避する動きが暫くは続きそうだ。
3月ミシガン大消費者信頼感指数
(investing.comより)
3月第3週の注目ポイント(経済指標)
時間表記:日本時間
3月16日(水)
21:30 米国2月小売売上高(前月比)
21:30 米国2月小売売上高(除自動車)(前月比)
27:00 米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表
27:30 米国パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
3月17日(木)
19:00 ユーロ 2月消費者物価指数(HICPコア指数、改定値)(前年同月比)
19:00 ユーロ2月消費者物価指数(HICP、改定値)(前年同月比)
21:00 イギリス英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨
21:00 イギリスイングランド銀行(BOE、英中央銀行)金利発表
3月18日(金)
日本日銀金融政策決定会合、終了後政策金利発表
08:30 日本2月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食料品・エネルギー除く)(前年同月比)
08:30 日本2月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く)(前年同月比)
08:30 日本2月全国消費者物価指数(CPI)(前年同月比)
15:30 日本黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
日米市場
日米市場共に不安定な相場が継続しそうだ。
ウクライナ情勢の不透明感が引き続き重石となっており、資源価格の高騰やロシアを巡る経済制裁によるロシアとの関係悪化などが資源株の上下、防衛関連銘柄の高騰など市場では個別銘柄での物色がありそうだ。
一連の問題を受け、従来進めてきたエネルギー政策の転換を米国は後退させておりエネルギー関連は高止まりとなる可能性もある。
日銀の金融政策決定会合は特にこれと言った問題もなく推移すると思われ、基本はウクライナ問題に左右される展開が先週に引き続き続くだろう。
(米ガソリン価格)
(Investing.comより)
欧州市場
欧州市場も引き続きウクライナ情勢が重石となっている。
ストック欧州600指数は今年1月5日に最高値の494.35をつけたものの、現在は431.17と高値より12%近い下落となっている。
西側諸国によるロシアへの経済制裁の影響を最も強く受ける欧州ではロシアによるウクライナの原発の攻撃や天然ガスや石油などのエネルギー、半導体、非鉄金属、GOLDなど様々な影響を受けることは確実であり、実体経済の悪化には警戒が広がっている。
(GOLD価格 推移)
(goldprice.orgより)
今週の為替(USDJPY 週足)
非常に長い期間での話となるがUSDJPY週足では2011年から2015年にかけて推移した円安の流れ、74円台後半から始まり125円台後半までの大きな流れの50%を2016年に意識、その後は38.2%を挟んでの推移を続けていたが、コロナウイルス感染症による経済悪化などで23.6%の112円台後半で推移していたものが、ウクライナ情勢によって抜けてくる展開となっている。
ウクライナ情勢による影響は週足という事から2本分のローソク足とほとんど影響は見られないものの、今後の情勢、ロシアによる経済制裁によって原油・天然ガス・ニッケル・アルミの高騰、ウクライナとロシア両国で生産されている小麦が輸入しにくくなる状況となる事で中国、インドに次ぐ小麦生産がなくなる事による小麦価格の高騰と経済に与える影響など、ウクライナ情勢が長引けば長引くほど、為替は円安に振れ、その価格帯での推移が続くことで輸出業など様々な企業に影響が発生する。
既に半導体不足、これはコロナウイルス感染症による減産が主な原因ではあるが、半導体不足による機器の生産の遅れなども発生している。
ウクライナ情勢次第ではUSDJPYも更なる円安へと進みそうだ。