石田 和哉
ウクライナとロシアの和平交渉に進展が見られないことから、リスクが依然として存在するものの、FRBによる一段と積極的な行動が必要になるという発言や原油価格の低下なども好材料となり米国市場は1週間で大きく値を戻す展開となっている。
ナショナル・セキュリティーズの主任市場ストラテジスト、アート・ホーガン氏は「会談から読み取れることは予想通りだった」と指摘。ロシアとウクライナの和平交渉が続いていることから、投資家は楽観的な見方をする傾向にあるとし、「ロシア・ウクライナ問題に関しては、情勢の緊迫化に対して否定的になるよりも、むしろ外交面でのニュースに肯定的になっている」とするなど、ウクライナ情勢は材料としてはそれほど強く意識されない部分も出てきている。
とはいえ、ウクライナ情勢の進展、原油価格の変動、穀物相場への影響など難しい問題はまだまだ山積みとなっており、話題に上りにくくなってきたコロナウイルス感染症の感染状況や変異株の出現の可能性なども考慮に入れておきたいところだ。
NYダウ平均株価(半年推移)
(investing.comより)
3月第4週の注目ポイント(経済指標)
時間表記:日本時間
3月21日(月)
25:00 米国パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、発言
3月23日(水)
21:00 米国パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、発言
23:00 米国2月新築住宅販売件数(年率換算件数)
23:00 米国2月新築住宅販売件数(前月比)
3月24日(木)
08:50 日銀・金融政策決定会合議事要旨
日米市場
米国市場は値を戻す流れが出てきており、どこまで値を戻せるのかに注目したい所となっている。
オプション、株式指数先物、FOMCの期日でもあるクアドルプルウィッチングの通貨で損切りなどがある程度、消化されることで戻りの流れの発生しやすい相場となりそうだ。
日本市場では3月9日の安値で当面の下値は叩いたと思われるものの、どこまで戻るのか不透明な部分も強くあり、もみ合いに近い展開となりそうだ。
(日経225 6か月推移)
(ManeyWorldより)
欧州市場
米国市場はウクライナ情勢をある程度、織り込んだ市場展開となっているようだが欧州ではウクライナ情勢の悪影響は指標となって表れ始めつつある。
3月のユーロ圏センティックス投資家信頼感指数は大幅に低下しており、ウクライナ情勢による先行きの不透明感が投資家の心情に強い影響を与えている事が見て取れる。
ストック欧州600は先週に引き続いての反発とはなっているが、ウクライナ情勢の影響を最も強く受ける市場でもある事から中長期間において、ウクライナ情勢は市場の重石となることは間違いなさそうだ。
ウクライナとロシアとの間で停戦に向けた進捗などがあれば市場は復調することは間違いないではないかと考えられる。
(ストックス欧州600指数推移)
(Investing,comより)
今週の為替(EUR/JPY)
EUR/JPY(週足)
EURJPYの週足では2つの三角持ち合いが見て取れる。
ウクライナへのロシアの侵攻の前からすでに発生している三角持ち合いであり、赤い三角持ち合いから白い三角持ち合いへと変化を長期間かけて行っている事が見て取れる。
ウクライナへの侵攻も週足で見た場合には織り込み済みともいえる事から、週足で見た場合の流れとしては白い三角持ち合いの中を推移する展開、直近で考えれば125円~135円での推移となる可能性があり、緩やかな下降の可能性が見て取れる。
EUR/JPY(日足)
EURJPYの日足では大きなトレンドの50%がウクライナ問題で意識されており、現在は戻りを試す展開となっている。
オレンジ線までの戻りは流石に考えにくい部分もあるが、オレンジ線までの戻りとなった場合は大高値を超える可能性もある事から相場の方向性、ウクライナ問題などには十分な注意を行いたい所となっている。
相場の流れはいささか不安定となっており、急騰急落、暴騰暴落となった場合には売買やロスカットの目安としてオレンジ線、青線、赤線は意識されそうだ。