石田 和哉
5月1週の米国市場は雇用統計が市場予想を上回った事を受け、FRBによって積極的な利上げが行われるのではないのかという懸念が強く意識され値を下げる展開となった。
労働省が発表した4月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比42万8000人増と市場予想を上回る堅調な伸びとなり、米経済のファンダメンタルズが依然堅調である可能性が示される形となった。
FRBは3~4日の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5%の利上げを決定している。
パウエルFRB議長は否定しているが、市場では6月の次回FOMCで0.75%の利上げを決定するとの見方が出ており、上値を抑える形となっている。
インフラストラクチャー・キャピタル・マネジメンと(ニューヨーク)の最高経営責任者(CEO)、ジェイ・ハットフィールド氏は、「現在の市場の動意は95%までが長期金利に関連する要因」と述べる等、市場動向は長期金利の動きにかなり意識を割いている様だ。
米雇用統計推移
(TradinEcnomicsoより)
5月第2週の注目ポイント(経済指標)
時間表記:日本時間
5月9日(月)
08:50 日銀・金融政策決定会合議事要旨
5月11日(水)
21:30 米国4月消費者物価指数(CPIコア指数)(前月比)
21:30 米国4月消費者物価指数(CPI)(前年同月比)
21:30 米国4月消費者物価指数(CPI)(前月比)
21:30 米国4月消費者物価指数(CPIコア指数)(前年同月比)
5月12日(木)
15:00 イギリス1-3月期四半期国内総生産(GDP、速報値)(前期比)
15:00 イギリス3月月次国内総生産(GDP)(前月比)
15:00 イギリス1-3月期四半期国内総生産(GDP、速報値)(前年同期比)
日米市場
米国市場は3~4日に行われたFOMCが無事に終わった事などから、底値の堅い展開で推移すると思われるが、長期金利の利上げがかなり強く意識されつつあり、FRBのパウエル議長の思惑や投資家の思惑など上値は意識されそうだ。
日本市場では5月13日が決算の山場となっているが、期待も失望も織り込んだ静かな展開となりそう。
市場は一端の上昇に入っている可能性もあり、底値は固く推移しそうだが、上値もある程度限定された動きとなりそうだ。
米10年国債利回り推移
(Bloombergより)
欧州市場
欧州市場は値を下げる形となっている。
高いインフレを抑えるためにECBによる政策金利の大幅な引き上げが行われるのではと言う憶測を前に、市場は値を下げる展開となっている。
週間で見た場合では4.55%の下落となっている。
ユーロ圏の記録的ともいえるインフレ率の上昇によって、早ければ7月にも利上げが始まるとの憶測も出ており、ウクライナ情勢の今後の進展次第ではさらにインフレの高進もありそうだ。
(EUインフレ率推移)
(Eurostatより)
今週の為替(AUD/USD)
AUDUSD 日足
AUDUSD日足での総評となるがAUDUSDでは2つのパターンが考えられる。
白線は青線1の上値抵抗線に沿って推移している状況で、途中で赤線の抜けが発生し青線2の上値抵抗線が新たに意識される形となった。
白線での推移、赤線での抜け、再度の白線での推移(途中)となった事で青1・2で形成される2線の上値対抗線が意識される形となっている。
2線の上値抵抗線のどちらが意識されるかはまだ不透明な部分もあるが、aかbいずれかの形で推移することになると思われる。
注意したいのはaかbどちらで推移した場合でも、緩やかな下降トレンドであり、上位足の週足などでも下降である事から大きなトレンドの転換などは難しいことを念頭に置いて売買を行いたい。