石田 和哉
5月4週の米国市場は大きく値を伸ばす展開となった。
米国市場はインフレ鈍化と底堅い消費支出を示す統計を受けたFRBが金融の引き締めを行う事が可能であると楽観的な見方が市場で多勢を占め、米国市場は大きく値を上げる展開となった。
米商務省が27日に発表した4月の個人消費支出価格指数は、前年同月比6.3%上昇。伸び率は1982年以来の高水準となった前月の6.6%から縮小し、前月比0.2%上昇と、3月の0.9%上昇から減速し2020年11月以来、最小の伸びとなったことを受け、市場は値を上げる展開となった。
ウエスタン・ユニオン・ビジネス・ソリューションズのシニアマーケットアナリスト、ジョー・マニンボ氏は「秋にFRBが利上げを一時停止するという観測が高まる中、ドルは下げに転じている」、「雇用統計によって、第3・四半期以降の引き締め余地が示されるだろう」とも述べた。
来週発表の雇用統計が注目される形となっており、大幅高となった米国市場が戻りの相場に変化することが出来るのかどうか注目したい所となっている。
(米4月個人消費支出)
(https://www.bea.gov/より)
6月第1週の注目ポイント(経済指標)
時間表記:日本時間
5月31日(火)
18:00 ユーロ5月消費者物価指数(HICPコア指数、速報値)(前年同月比)
18:00 ユーロ5月消費者物価指数(HICP、速報値)(前年同月比)
21:30 カナダ1-3月期四半期国内総生産(GDP)(前期比年率)
21:30 カナダ3月月次国内総生産(GDP)(前年同月比)
21:30 カナダ3月月次国内総生産(GDP)(前月比)
6月1日(水)
3:00 米国5月ISM製造業景況指数
6月2日(木)
21:15 米国5月ADP雇用統計(前月比)
6月3日(金)
21:30 米国5月失業率
21:30 米国5月非農業部門雇用者数変化(前月比)
21:30 米国5月平均時給(前年同月比)
21:30 米国5月平均時給(前月比)
23:00 米国5月ISM非製造業景況指数(総合)
日米市場
日本市場・米国市場は共に戻りを試す展開となりそうだ。
日本市場ではウクライナロシア問題などの外部環境に不透明感が残るものの、日本では6月より緩和される訪日条件の緩和などによって底堅い展開となりそうだ。
米国市場は週末に発表された経済指標によってインフレ鈍化が数字となって示されたことで米国市場は大きく値を上げており、そのまま上昇に転化できるのか、週末に発表される米国雇用統計の数字に注目が集まっている。
(日経平均推移)
(Bloombergより)
欧州市場
欧州株式市場は続伸となっている。
4月の米個人支出が堅調であった事、PCE物価上昇率の延びが鈍化した事からの政策金利の引き上げ加速が遅くなるなど投資家心理が改善した事から欧州市場は値を上げる形となった。
欧州600は1週間で2.98%の上昇となり、2か月ぶりの上げ幅、ドイツのDAX指数は1.62%の上昇となっている。
銀行系の上昇が目立っており、AJベルの金融アナリスト、ダニー・ヒューソン氏は「今後の動きが見え、中央銀行がしっかりと慎重な方法を取りながら景気後退回避のために軟着陸させようとしていることで、市場は少し明るい気分になっている」との見方を示した。
(STOXX EUROPE600推移)
(GONTIGOより)
今週の為替(USDJPY)
USDJPY 月足
USDJPYの超長期で見た場合、2001年の高値付近の135.40が上値抵抗線として意識されており、下値は2006年の高値として2014年の高値で意識された125.00が下値支持線として意識されていると思われる。
急激な円安となった事もあるが、日本における外国人観光客の入国制限の緩和など、経済的にプラスのイベントもこれから次々に出てくることから、巣籠需要の後、インバウンド需要などが意識されれば円は強くなっていきそうだ。
円高に進む場合には125円、円安の場合には135.40~が意識されることから、時間をかけてのレンジ相場、実体経済の推移を見ながらの展開となるのではないだろうか。
USDJPY 日足
USDJPYの日足では2通りの考え方のできる展開となっている。
白線と青線で描いた2つのエリオット波動の形成が見て取れる。
白線は大きく見た場合のエリオット波動の推進波5波からの調整a波であり、ここからの下落、若しくは調整を示唆している。
青線は小さく見た場合でエリオット波動の推進波1-5波の形成が終わり、完成が不十分ではあったが、調整波のa-bを形成、再度の推進波1-5波の2波までを形成していると見て取れる。
どちらに推移するのかは不透明と言いたいところだが、上位の時間足では上昇に転じる可能性も
強くあり、その場合には青での推移、エリオット波動の推進波の3波からの形成で買いに転じ、月足上での上値抵抗線となる135.40までの上昇を考える形となりそうだ。