石田 和哉
6月1週の米国市場は値を下げる展開となった。
米国市場は週末に発表された米国雇用統計が市場予想の32.5万人に対して39万人増となり失業率は3.6%と3か月連続で横ばいとなった事でFRBが利上げを停止するのではないのかの期待が後退した事で値を下げる形となった。
シティ・パーソナル・ウェルス・マネジメントの投資戦略責任者ショーン・スナイダー氏は、堅調な雇用統計を「もろ刃の剣」と指摘した。
「経済の良好な状況を示し朗報だが、FRBは引き締めを継続できるという確信を強めることになる」とし、「今年終盤に利上げを停止するという期待が出ていたこともあり、幾分ネガティブな材料となった」と述べるなど、米国市場では色々な憶測の出る展開となっている。
テスラは経済について「悪い印象」を持っており、10%程度の人員削減が必要としたマスク氏が幹部に送ったメールが悪材料となり9.2%安、証券会社が弱気の見通しを示した。
アップルは3.9%安となっている。
(米ダウ推移)
(Bloombergより)
6月第2週の注目ポイント(経済指標)
時間表記:日本時間
6月8日(水)
08:50 日本1-3月期 四半期実質国内総生産(GDP、改定値) [前期比]
08:50 日本1-3月期 四半期実質国内総生産(GDP、改定値) [年率換算]
18:00 欧州1-3月期 四半期域内総生産(GDP、確定値) [前期比]
18:00 欧州1-3月期 四半期域内総生産(GDP、確定値) [前年同期比]
6月9日(木)
20:45 欧州中央銀行(ECB)政策金利
6月10日(金)
21:30 米国5月 消費者物価指数(CPI) [前月比] 0.3% 0.7%
21:30 米国5月 消費者物価指数(CPI) [前年同月比] 8.3% 8.3%
21:30 米国5月 消費者物価指数(CPIコア指数) [前月比] 0.6% 0.5%
21:30 米国5月 消費者物価指数(CPIコア指数) [前年同月比] 8.3% 8.3%
日米市場
米国市場は米国雇用統計が好調な展開となった事を受け、利上げの停止への期待感が後退した事で、値を下げる展開となった。
中立金利まで利上げを急ぐと思われているが、景気回復のスピード、インフレ率の増減で市場は右往左往する形となって入り、景気後退が見られない場合、景気後退が見られる場合と市場はまだまだ先の見えない展開となっている。
日本市場は高値を追いにくくなりつつある。
上値が抑えられつつあり、ここからのレンジ、若しくは売り場が出てくる可能性がある。
日経平均が28000円を抜け切れるか、上値を抑えられるかで展開が変わってくる可能性がありそうだ。
米国10年金利推移
(Tradingviewより)
欧州市場
欧州株式市場は反落して取引を終えている。
米国で発表された5月の雇用統計が市場予想を上回り、FRBが金融引き締めを積極的に進めるとの警戒感が強くなった事で売りが優勢となり値を下げる形となった。
また、ユーロ円19か国のインフレ率が大きかった事を受け、ECBの年内の利上げ予想が高まっている。
コメルツ銀行のアナリストらは投資家向けメモで「劇的なインフレ傾向と、ECBがFRBに比べて明らかに後手に回っていることを考慮すると、ECBの表現はもっとタカ派的になるはずだ」と指摘するなどしており、ECBの今後の展開にも注目したいところだ。
(STOXX Europe 600 Index)
(QONTIGOより)
今週の為替(EUR/USD)
EURUSD 日足
EURUSDの日足では2つの下降の推進波が見て取れる。
大きく見た場合は白線で始まる1波-5波の形成であり、小さく見た場合は青線で始まる1-5波の形成とそれぞれで波動論上の推進波1-5波の形成となっている。
どの推進波を取ったとしても上昇の調整波、a-cが形成される形となっており、戻りの力もある程度見て取れる形となっている。
波動論上での推進波1-5波の形成が終わり調整波a-cの開始の形である事から下位の時間足では基本的に買いが強くなってくる可能性がある。
戻りを試した場合には白線の4波と5波で形成される高値、青線の1波の最初の価格がそれぞれ意識されることになりそうだ。