石田 和哉
9月1週の米国市場は米国雇用統計の発表において、非農業部門雇用者数が市場予想を若干、上回ったものの、賃金の伸びが鈍化した事、失業率3.7%と上昇した事が労働市場にとって鈍化したとの見方が強まったことや、FRBがリセッションを引き起こすことなく、米経済を鈍化させることができるという「慎重ながらも楽観的」な見方が広がった。
それの影響から米国市場は値を上げる展開となっていたが、国営ロシアガスプロムが2日、サンクトペテルブルク近郊のポルトバヤ圧縮機ステーションで主要ガスタービンの油漏れが見つかったとし、問題が解消されるまで「ノルドストリーム1」を介する欧州へのガス供給は再開されないと発表した事で欧州市場が値を下げた事を受け、欧州でのガス供給をめぐる不安が台頭し、米国市場も値を下げる展開となった。
米国市場は1週間でダウ工業30種は2.99%、S&P総合500種は3.29%、ナスダック総合は4.21%とそれぞれ大きく値を下げている。
(米雇用統計推移)
(TradinEconomicより)
9月2週の注目ポイント(経済指標)
時間表記:日本時間
9月6日(火)
23:00 米国 8月 ISM非製造業景況指数(総合)
9月7日(水)
18:00 EU 4-6月期 四半期域内総生産(GDP、確定値) [前期比]
18:00 EU 4-6月期 四半期域内総生産(GDP、確定値) [前年同期比]
9月8日(木)
08:50 日本4-6月期 四半期実質国内総生産(GDP、改定値) [前期比]
08:50 日本4-6月期 四半期実質国内総生産(GDP、改定値) [年率換算]
21:15 欧州中央銀行(ECB)政策金利
21:45 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、定例記者会見
22:10 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、発言
日米市場
米国市場は不安定な値動きが予想される。
ロシアによるEUでの「ノルドストリーム1」を介する欧州へのガス供給は再開されないと発表した事による欧州での経済不安が影響を及ぼしそうだ。
ジャクソンホールにて痛みを伴う金融引き締めの方針が指示されたこと、雇用統計で労働市場の軟化が示された事などもあり軟調な展開が予想される。
日本市場の上値は抑えられると思われる。
基本は米国市場同行次第と言ったところで、米国市場の上下に左右されることになる。
9月9日のメジャーSQにも注意したいところだ。
(ダウ・日経225推移)
(reutersより)
欧州市場
欧州市場は前述したが、ロシアによるEUでの「ノルドストリーム1」を介する欧州へのガス供給は再開されないと発表した事による欧州での経済不安が影響を及ぼしている。
英国ではトラス外相が新首相を決める中で優位に立っているものの、高騰し続ける電気料金に対しての公約の詳細を明らかにしていない事から英国中央銀行への利上げ要求をするのでは?と市場で憶測が出ており、難しい展開が続きそうだ。
米国雇用統計によって、市場での投資家心理は改善したものの、ガス供給問題など難しい展開はまだまだ続きそうだ。
(STOXX Europe 600 idex)
(QONTIGOより)
今週の為替(GBP/JPY)
GBP/JPY 日足
GBP/JPY日足では三角持ち合いの形成が見て取れる。
直角三角形であれば、直角に面した部分を抜ける可能性が高まるのだが、GBP/JPYではその形になっておらず、上下どちらに推移するのかは分かりにくい形となっている。
とはいえ、エネルギーが三角の頂点に近づくにつれて溜まっていく事から上下どちらかの抜けになることは間違いなさそうだ。
上位時間足では高値圏での揉み合いとなっており、下値に推移する可能性が見て取れる事からここからの下値余地は多少ありそうと考えられ、注意して取引を考えたいとことだ。