石田 和哉
10月1週の米国市場は底堅い米国雇用統計がFRBによる利上げ継続・積極利上げを行うのではという憶測に繋がり、米経済のリセッション警戒からの売りによって大きく値を下げる展開となった。
7日の米国市場で発表された米国雇用統計は非農業部門雇用者数が26.3万人の増加と8月の31.5万人増から鈍化したものの、市場予想の25万人増を上回ったことがFRBによる利上げ継続・積極利上げの憶測を呼ぶ形となった模様だ。
GW&Kインベストメント・マネジメントのグローバルストラテジスト、ビル・スターリング氏は「労働市場は引き続き過度に過熱しており、FRBは安心感を得られない」とし、雇用統計によって11月の0.75%ポイントの追加利上げがほぼ確実になったと指摘。
「良いニュースが悪いニュースになるという典型的なケースだ。堅調な労働市場という良いニュースを受け、市場ではFRBがこれまで以上に警戒を強め、金利上昇によって来年の景気後退のリスクが高まる可能性があると判断した」と述べるなど、市場予想を上回る雇用統計の数字が追加利上げの憶測を呼ぶ流れとなっている事を指摘するなど市場は難しい舵取りを迫られる形となっている。|
(米雇用統計推移)
(Bloombergより)
10月2週の注目ポイント(経済指標)
時間表記:日本時間
10月12日(水)
15:00 イギリス8月月次国内総生産(GDP)(前月比)
27:00 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨
10月13日(木)
21:30 米国9月消費者物価指数(CPI)(前月比)
21:30 米国9月消費者物価指数(CPIコア指数)(前年同月比)
21:30 米国9月消費者物価指数(CPIコア指数)(前月比)
21:30 米国9月消費者物価指数(CPI)(前年同月比)
10月14日(金)
21:30 米国9月小売売上高(除自動車)(前月比)
21:30 米国9月小売売上高(前月比)
日米市場
米国市場は12日に開催される米FOMC、翌日13日の9月消費者物価指数、週末の9月小売売上高など重要経済指標に左右される展開となりそうだ。
消費者物価指数は市場予想値がCPI前月比0.2%、CPIコア指数前年同月比6.5%などが予想されており、9月小売売上高(前月比)は市場予想の0.2%に対してどの程度の数字となるのかそれぞれ注目となっている。
日本市場では重要経済指標の発表は特にない事から、米国市場動向に左右される展開となりそうだ。
米国10年国債の金利が上がるのか、下がるのかにも併せて注目していきたいところだ。
米10年債利回り推移
(investing.comより)
欧州市場
欧州株式市場は米国雇用統計を受けて値を下げる展開となった。
堅調な米国雇用統計がFRBによる大幅な金利の引き下げへの警戒が売りを呼び、世界的な株安を呼ぶ展開となった。
また、OPECとOPECプラスが大幅な減産を決めた事が石油株式関連株の上昇を引き越している。
6日に公表されたEBCの9月理事会議事要旨も金利の大幅引き上げの実施が売りを呼ぶ展開となっており、世界的な経済リセッションの可能性は高いと意識され続きそうだ。
(STOXX Europe 600 idex)
(MarketWatchより)
今週の為替(USD/JPYと米10年債利回り推移)
USDJPY日足
今回はUSD/JPYと米国利回りの話をしたいと思う。
画像は「USD/JPYの2020年3月~2022年10月7日迄のUSD/JPY日足」と米国10年債の2021年からのチャートを並べているが、米国金利が3%水準を目指し始める部分からUSD/JPYも円安ドル高展開となり、3%を超えてからは為替のドル安は発生しにくい展開となっている。
株式市場でも同様の兆候が強く表れており、ダウ平均などの株式市場でも金利が3%を超えてからは値を下げにくい、下げても一時的な下降となる形となっている。
金利が上がる事で経済のリセッションへの警戒感が強くなり、金利の高い国債に資金が流入する。
結果として、為替や現物市場への投資額が相対的に低下する事で相場が動きにくい展開となり、現在の状況となっている。
本格的な動きとなるにはFRBによる金利の引き上げが一巡。
金利が下がり、株式市場に資金が流入する事で市場が活発化しなければ難しい展開は続きそうだ。
為替の取引を行う際には金利の推移、現物市場の推移にも注意を払ってほしい。