石田 和哉
24日の米国市場は朝方発表された堅調な消費支出がFRBによる利上げ継続という観測につながり、ダウ工業30種は1週間で3%の下落と年初来で最も下げ、S&P500は3.3%、S&P総合も2.7%と週間で大きく値を下げる展開となった。
グレンミードのプライベートウェルス最高投資責任者、ジェイソン・プライド氏は「市場はなお、われわれが見込んでいる景気後退の可能性を織り込んでいない」とし過去の利上げサイクルでは効果が完全に経済に浸透するまでに6-18カ月かかったと指摘。「われわれは(景気後退を)確実視していないが、市場が想定しているよりも確率は高い可能性がある」と述べる等、年内に3回の利上げが実施される事で金利も5%を超えてくると市場では思われている。
(大きく値を下げたダウ・NASDAQ・S&P推移)
(Bloombergより)
3月1週の注目ポイント(経済指標)
時間表記:日本時間
2月28日(火)
22:30 カナダ 12月月次国内総生産(GDP)(前月比)
22:30 カナダ 10-12月期四半期国内総生産(GDP)(前期比年率)
22:30 カナダ 12月月次国内総生産(GDP)(前年同月比)
3月1日(水)
24:00 米国 2月ISM製造業景況指数
3月2日(木)
19:00 ユーロ 2月消費者物価指数(HICP、速報値)(前年同月比)
19:00 ユーロ 1月失業率
19:00 ユーロ 2月消費者物価指数(HICPコア指数、速報値)(前年同月比)
21:30 ユーロ 欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨
3月3日(金)
24:00 米国 2月ISM非製造業景況指数(総合)
日米市場
日米ともにもみ合いに近い展開となりそうだ。
24日の植田新日銀総裁候補の所信聴取が市場に懸念を抱かせる発言を回避した事で日本市場は大きく値を上げる展開となったが、米国市場の週末の展開が値を下げた事で方向性の見えにくい展開に拍車がかかりそうだ。
米国市場は金利警戒が強く出ており、SaaS企業の決算がどのような数字となるのか、戻りを後押しする数字となるのか、下げを加速させる数字となるのか注目をしたいところとなっている。
(国際金融研究所の春季会員総会で講演した植田氏)
(Bloombergより)
欧州市場
欧州・英国市場共に値を下げる展開となった。
米国で発表された1月個人消費支出物価指数の上昇率が市場予想を上回った事でFRBによる利上げの強化が市場を巡り、値を下げる展開となった。
また、米連邦破産11条の適応を申請した映画館運営で世界2位の規模を誇る「シネワールドグループ」の経営破綻も欧州市場、特に英国市場に大きな影響を与えた。
ハーグリーブス・ランズダウンのシニア投資・市場アナリストのスザンナ・ストリーター氏は「投資家たちは主に米株式市場の動きを参考にしている」とし、「最新のデータでインフレを抑える作業が完了からほど遠いことが示されたため、投資家の楽観的な見方はより急速にしぼんでいる」と指摘するなどした。
(シネワールドグループの看板)
(Bloombergより)
今週の為替(XAU/USD)
XAU/USD日足
日足上では単純な判断を行うのであれば、直近の上昇トレンドの高値安値の50%・61.8%で一旦の抵抗が発生しそうだ。
1745までの押しもあると思われるが、そこからは一端の反発も考えられる。
高値で売りを仕掛けていた場合には利食いの目安ともなりそうだ。
XAU/USD4時間足
4時間足上では波動論の1-3波、もしくはa-c波と言う形が見て取れる。
1-3波と捉えるのか、a-c波と捉えるのかは投資家によるが、どちらであっても抜けの部分、1-2波で作られた安値・a-b波で作られた安値を抜けてくることには違いないのではと考えられる。
1-2波、推進波の場合には4-5波の可能性もあるのでトレードのチャンスは広がるが、調整波となった場合でもc波の後に来るであろう、再度の推進波での形成をまって2度目のトレードが可能な部分となっていると考える。