石田 和哉
3日の米国市場は米国経済指標を受けた事でFRBが長期的・制約的な政策を従来の予想よりも短い期間、長期的に維持する事への見方が後退した事や、米国国債利回りの低下が追い風となり米国市場は大きく値を上げる展開となった。
JPモルガン(ニューヨーク)のマネジングディレクター、デビッド・カーター氏は「引き続きFRBがどれほど体裁よく経済を鈍化させることができるのかが重要だ」と指摘。「FRBは市場が望む見解を示しているが、経済指標によっては金利を一段と高水準に引き上げる必要があるかもしれないとの警告も発している」と述べるなどしている。
ダウ平均は1.17%、NASDAQは1.97%、S&P500は1.61%の上げ幅となっている。
ISMが発表した2月非製造業総合指数は55.1と、1月よりわずかに低下したものの、拡大を示す50は上回っており、新規受注・雇用も1年超ぶりの高水準となっている。
(非製造業総合指数推移)
(Bloombergより)
3月2週の注目ポイント(経済指標)
時間表記:日本時間
3月7日(火)
24:00 米国 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、発言
3月8日(水)
19:00 ユーロ 10-12月期四半期域内総生産(GDP、確定値)(前期比)
19:00 ユーロ 10-12月期四半期域内総生産(GDP、確定値)(前年同期比)
22:15 米国 2月ADP雇用統計(前月比)
24:00 カナダ 政策金利
24:00 米国 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、発言
3月9日(木)
08:50 日本 10-12月期四半期実質国内総生産(GDP、改定値)(前期比)
08:50 日本 10-12月期四半期実質国内総生産(GDP、改定値)(年率換算)
3月10日(金)
日本 日銀金融政策決定会合、終了後政策金利発表
15:30 日本 黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
16:00 イギリス 1月月次国内総生産(GDP)(前月比)
22:30 米国 2月非農業部門雇用者数変化(前月比)
22:30 米国 2月平均時給(前年同月比)
22:30 米国 2月平均時給(前月比)
22:30 カナダ 2月失業率
22:30 カナダ 2月新規雇用者数
日米市場
日本市場は週末に大きく値を上げた米国市場動向を受け、上昇基調の展開となるとは思われるものの、今週はFRB議長記者会見、SQや日銀会合、米雇用統計などの重要経済イベントを控えている事から大きく値を伸ばすことは考えにくい。
米国市場も同様に、FRB議長記者会見、米国雇用統計などがある事から高値圏での推移高止まりでの推移となりそうだ。
パウエル議長による記者会見、米10年債入札、雇用統計とイベントも連続して発生する事から、米国市場動向には日々注意が必要となりそうである。
(FRBパウエル議長)
(Bloombergより)
欧州市場
英国市場は小幅高に欧州市場は値を上げる展開となっている。
英国市場は石油株が市場の重石となり、2月英サービス部門購買担当者景気指数も上昇したことなどもあり、底堅い展開となっているが、インフレ抑制のためには利回りの上昇が必要になるのでは?という警戒もありFTSE100は8000をなかなか、超えるに超えられない展開が続いている。
欧州市場は中国経済の改善による経済活動再開が需要の底支えを行うのでは?という憶測もあり、値を上げている。
(EU圏 PMI推移)
(S&Pグローバルより)
今週の為替(WTI_OIL/USD)

WTI_OIL/USD 4時間足
WTI_OIL/USD4時間足では三角持ち合いからの抜けの展開を見ることができる。
三角持ち合いもはっきりとしない、レンジ相場に近い(特に高値が)形となっておりここからの上昇は直近の高値であり、上値抵抗線、フィボナッチ数列上の50%付近でもある82付近がかなり強く意識されると思われる。
現在の価格79後半から見てそれほど上昇が見込めるわけではないものの、しっかりとした上抜けの確認が取れれば82前後までの上昇は見込めると考えられる。