石田 和哉
10日の米国市場は2月の雇用統計が賃金の伸びの鈍化が示されたことでインフレ圧力の低下がFRBによる金利引き上げのペースが緩やかになるのではと言う見方が広まった。
非農業部門雇用者数も市場予想を上回る結果を見せたが、前述した賃金の伸び等が緩やかになった事もあり、利上げ引き上げ観測の後退と言う良い流れが生まれるかと思われたが米連邦貯金保障公社が発表した。SVBファイナンシャルグループ参加のシリコンバレー銀行を閉鎖したとの発表を受け、市場は値を下げる展開となった。
ウィズダムツリーの債券戦略責任者、ケビン・フラナガン氏は、安全資産に多額の資金が流れているとし、「銀行部門への潜在的なストレスに対する懸念がある」と述べた。
RBCグローバル・アセット・マネジメントのブルーベイ米債チーム責任者、アンドレイ・スキバ氏は3月14日に発表される消費者物価指数(CPI)が「極めて重要」とし、「焦点は現在、CPIと、米銀部門で起きていることを考慮した全体的な金融情勢に移っている」と、米国では週半ばに発表される数字が注目となっている。
(シリコンバレー銀行)
(AP通信より)
3月3週の注目ポイント(経済指標)
時間表記:日本時間
3月12日(日) 米国 サマータイム
3月14日(火)
21:30 米国 2月消費者物価指数(CPI)(前月比)
21:30 米国 2月消費者物価指数(CPIコア指数)(前年同月比)
21:30 米国 2月消費者物価指数(CPIコア指数)(前月比)
21:30 米国 2月消費者物価指数(CPI)(前年同月比)
3月15日(水)
08:50 日本 日銀・金融政策決定会合議事要旨
21:30 米国 2月小売売上高(除自動車)(前月比)
21:30 米国 2月小売売上高(前月比)
3月16日(木)
22:15 ユーロ 欧州中央銀行(ECB)政策金利
22:45 ユーロ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、定例記者会見
3月17日(金)
19:00 ユーロ 2月消費者物価指数(HICP、改定値)(前年同月比)
19:00 ユーロ 2月消費者物価指数(HICPコア指数、改定値)(前年同月比)
日米市場
日本市場は一端の下落に転じた可能性が出てきている。
2月前半から3月にかけてのもみ合いからの一時的な上昇、そこからの急激な下落と相場は不安定なものとなっている。
先週の米国市場を受け28000円を割り込むことの可能性が高く、27000円前半までの下落も考えられる状況とはなっている。
米国市場も同様の下落展開になると思われるが、消費者物価指数や小売売上高などの重要経済指標を控えていることから神経質な展開となりそうだ。
(日経225・ダウ平均推移)
(Bloombergより)
欧州市場
英国欧州市場共に値を下げる展開となっている。
米国で始まったシリコンバレー銀行による金融株の売りが波及する格好となった。
英国市場は1.67%。欧州市場は1.35%の下落となっている。
オンライン取引プラットフォーム、IGのチーフマーケットアナリスト、クリス・ボーシャン氏は「このような条件反射的な反応はやや行き過ぎのように見えるが、すぐに終わる可能性は低いので急落の流れに逆らうのは賢明ではない」と指摘、ハーグリーブス・ランズダウンのシニア投資・市場アナリスト、スザンナ・ストリーター氏は「欧州の銀行が保有する大量の債券の価値がどれだけ下がったのか懸念されて重圧にさらされている」とし、「別の信用不安が発生しない限りは今後の数営業日で安定し始めるかもしれない」との見方を示すなど、アナリストによる意見も分かれる難しい部分となっている。
16日はラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、定例記者会見もある事から記者会見の内容とそれまでにどのような展開で米国市場が推移するのかに注目と言った所だ。
(ラガルド欧州中央銀行総裁)
(https://www.europarl.europa.eu/news/enより)
今週の為替(USD/CNH)
USD/CNH 4時間足
USD/CNHの4時間足では2通りの波動論の展開を読み取ることができる状況となっている。
1つ目は1-5波までの形成がなされている「白線」でのパターン
2つ目は1-5波までの形成がなされている「赤線」でのパターン
をそれぞれ読み取ることができる。
直近のトレンド、下降の流れからの50%・61.8%の戻しにはまだ余裕がある事からここからの上昇可能性は高い。
どちらのパターンであっても最終的な戻りでは50%・61.8%の戻りにまで到達する可能性がある事から、1のパターンでは調整波a-cの形成後での再度の1波からの形成の戻り。
2のパターンでは4-5波での戻りと調整波a-cで形成される高値が50%・61.8%まで戻る可能性と色々な形を見て取引をしたい所だ。