石田 和哉
3日の米国市場は1月の雇用統計が市場予想を上回る好調な数字となった。非農業部門雇用者数は51.7万人増とエコノミスト予想の19万人から大きく値を上げる形となり、失業率も53年ぶりとなる低水準と、リセッション予想とは異なる動きとなっている。
其の流れを受けて米国市場は大きく値を上げたと言いたいところだが、FRBによる利上げの継続が行われるのではないのかと積極利上げ懸念が台頭し、市場は下落する形となった。
週間ベースで見た場合にはS&P500種は上昇を維持しており、高値までもう少しといった高水準であり、ナスダック総合は5週連続の上昇と好調を維持している。
インベスコのチーフ・グローバル・マーケット・ストラテジスト、クリスティナ・フーパー氏は「ボラティリティーの原因となっているのは、FRBがこれをどう受け止めるか、市場が見極めようとしているためだと思う」と述べるなどしている。
この流れを受けた週明けの日本、アジア欧州市場がどのような展開となるのか、引き続き米国市場の動きには注目したい所となっている。
(上段:非農業部門雇用者数の増減 [前月比]、下段:失業率と平均時給増減 [前年同月比])
(Bloombergより)
2月2週の注目ポイント(経済指標)
時間表記:日本時間
2月7日(火)
26:00 米国パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、発言
2月10日(金)
16:00 イギリス12月月次国内総生産(GDP)(前月比)
16:00 イギリス10-12月期四半期国内総生産(GDP、速報値)(前年同期比)
16:00 イギリス10-12月期四半期国内総生産(GDP、速報値)(前期比)
22:30 カナダ1月失業率
22:30 カナダ1月新規雇用者数
日米市場
日米ともに方向感に欠ける展開となりそうだ。
米国市場は好調な雇用統計が市場で予想されていたリセッションとは異なる結果となった事からFRBによる積極利上げ懸念によって市場は値を下げる展開となった事、米国本土に飛来した中国の偵察気球の撃墜による米中摩擦の激化など上値の重い展開となりそうだ。
米国市場が週末に値を下げた事もあり、日本市場でも上値の重い展開となると思われ上値が重い展開が続く様であれば嫌気による手放しなど売りを呼ぶ可能性もありそうだ。
また、7日のパウエル議長の発言に注目したい。
(雇用者数・労働時間・時給などから算出された指数)
(Bloombergより)
欧州市場
英国・EU市場は続伸しての展開となっている。
英国市場は米国の好調、サプライズ的な数字となった米国雇用統計を受け、市場は値を上げる展開となり、一時は最高値を更新するなどした。
EU市場も同様に、値を上げる展開となっている。
米国雇用統計の好調な数字に加えて1月ユーロ圏総合購買担当者景気指数が景気拡大・悪化
の分かれ目となる50を上回った事なども買いの要因、値を上げる原動力となっている。
懸念としては前述の通り中国と米国間での偵察気球を巡っての摩擦の増加、関係の悪化、ウクライナへの追加支援への影響が考えられ、2月2週はそれらを念頭に置いた展開となるのではないのだろうか。
(1月ユーロ圏PMI改定値)
(S&Pグローバルより)
今週の為替(EUR/CHF)
EUR/CHF 4時間足
EUR/CHF4時間足では三角持ち合いからの抜けを待つという状況となっている。
三角持ち合いの形的には上下どちらに推移してもおかしくない状況であり、方向性の見えにくい展開となっている。
上位足の日足では3-4波若しくは5波と判断の分かれる部分となっており、三角持ち合いの高値も日足での高値安値の戻り61.8%と合致することからここからの大きな上げは難しいと思われる。
下降した場合には多少の勢いも付く事から売り目線で相場を見て行く所となっている。
(下図 EUR/CHF日足)