石田 和哉
17日の米国市場は経営破綻した米中堅銀行シリコンバレー銀行の影響もあり、金融株が値を下げる展開となった。
過去2週間でS&P銀行株指数、KBW地方銀行株指数はそれぞれ4.6%、5.4%の下落と大きく値を下げる展開となっている。
破綻の懸念が浮上している米中堅銀行、ファースト・リパブリックバンクに大手銀行による300億ドルの預け入れの動意を得たと報道があったものの、大幅に値を下げる展開となり、週の初めから実に70%の下落幅と銀行を巡る混乱は米国市場にとって重石となっている。
ウエルススパイヤー・アドバイザーズのシニアバイスプレジデント、オリバー・パーシュ氏は「売りはやや過剰反応」とした一方、「ただ全体的な流動性や流動性危機の可能性に関する一部の懸念には妥当性がある」と指摘。利上げが資本やバランスシートに影響を及ぼしているとし、「クレディ・スイスのような金融大手にも影響を与え、投資家は動揺している」と述べた。
米国のみならず欧州でも懸念がささやかれ始めた金融不安は今後も市場の足を引っ張る存在となりそうだ。
(ファースト・リパブリックバンク株価)
(Bloombergより)
3月4週の注目ポイント(経済指標)
時間表記:日本時間
3月22日(水)
27:00 米国 米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表
27:30 米国 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
3月23日(木)
17:30 スイス スイス国立銀行3カ月物銀行間取引金利誘導目標中心値
21:00 イギリス イングランド銀行(BOE、英中央銀行)金利発表
23:00 米国 2月新築住宅販売件数(前月比)
23:00 米国 2月新築住宅販売件数(年率換算件数)
3月24日(金)
08:30 日本 2月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食料品・エネルギー除く)(前年同月比)
08:30 日本 2月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く)(前年同月比)
08:30 日本 2月全国消費者物価指数(CPI)(前年同月比)
日米市場
日本市場は神経質な展開となりそうだ。
週末に値を戻したものの、週末のダウが大きく値を下げた事を受け週明けは再び下値を模索する展開となる可能性がある。
CME日経平均先物は26700円17日の日本市場の終値から2.3%近の下落となっており16日に底を付けた後に戻した上げ幅をすべて打ち消す展開となりそうだ。
それを受けた現物市場の混乱が年初来安値を意識する可能性もありそうだ。
米国市場も金融不安が足を引っ張る形となりそうだ。
銀行の相次ぐ経営破綻がFRBのタカ派とハト派のバランスを崩すのか、金利の引き上げが打ち止めとなるのか、量的緩和の緩和などに注目する展開となると思われる。
(ファースト・リパブリックバンク)
(CNNより)
欧州市場
英国市場は2.58%の下落、欧州ストック600は1.21%の下落とそれぞれ値を下げる展開となっている。
英国・欧州市場共に金融危機への懸念から銀行株の売りによる下落となっている。
スイス大手のクレディ・スイスは8%の下落、UBS、BNPパリバ、アリアンツ、HSBCなどの大手金融も1.2~2.9%の下落と銀行株が市場の足を引っ張る形となった。
米ファースト・リパブリック銀行、クレディ・スイス銀行も資金提供を受けたと報道があったものの、市場の銀行への経営不安は根強いという形を示した結果ともなっている。今週はイギリス、米国と金利発表があるだけに注視したい所である。
(左上クレディ・スイス銀行、右上UBS、左下BNPパリバ、右下アリアンツ) (Bloombergより)
今週の為替(CNH/JPY)
CHN/JPY 日足
CHN/JPY日足では大きな上昇トレンドの推進波1-5波が終わり、調整波a-cの形成が形成される状況となっている。
上下どちらへと推移したとしてもある程度の値を取れる部分となっており、特に下抜けの場合には大きな上昇トレンドでみた高値安値の50%まで値を下げる可能性はありそうだ。
調整波a-cはc波の形成まで進んでいる事から上昇の場合、下降の場合とどちらに転じたとしても推進波1-5波の形成は行われると思われる。
日足で見ている事から数か月単位での見かたとはなりそうだが、大きな動き、大きく動くチャンスでもある事から期待したい所でもある。