石田 和哉
5日の米国市場は好調な雇用統計を受けたものの、年末の買われすぎからの調整なのか上値は重く推移し、週間ベースでは値を下げる展開となった。
週間ではS&P500が1.54%、ナスダックは3.26%、ダウ30種は0.59%と大きく値を下げる形で推移している。
BNPパリバの株式・デリバティブ戦略責任者、グレッグ・ブートル氏は「今のところ、おそらく昨年末に買われ過ぎた市場の健全な調整のようだ」と述べている。
非農業部門雇用者数が前月比21.6万人増と市場予想の17万人を上回り、賃金も引き続き底堅いペースで上昇したものの、12月米ISM非製造業総合指数は50.6と23年5月以来の低水準、非製造業部門の大幅な鈍化がしめされるなど難しい状況となっている。
(ナスダック推移)
(Reutersより)
1月2週の注目ポイント(経済指標)
時間表記:日本時間
1月11日(木)
22:30 米国 12月消費者物価指数(CPI)(前月比)
22:30 米国 12月消費者物価指数(CPI)(前年同月比)
22:30 米国 12月消費者物価指数(CPIコア指数)(前月比)
22:30 米国 12月消費者物価指数(CPIコア指数)(前年同月比)
1月12日(金)
16:00 英国 11月月次国内総生産(GDP)(前月比)
日米市場
日本市場は米国市場の動きを見ながら底値は固い展開となりそうだ。
米国市場が年明けの1週目で大きく値を下げる展開となっているものの、日本市場は比較的底堅い展開で推移しており、底値は固く推移しそうだ。
注目されていた米国雇用統計も無事に通過しているものの、12月米ISM非製造業総合指数50.6と23年5月以来、実に7ヶ月ぶりとなる低水準となっている事が、週明け・連休明けの投資家にどの様なアクションを起こさせるのかに注目と言った所だ。
また、日本市場のけん引役ともいえる外国人投資家による売り買いの状況にも注目と言った所となっており、外部要因に右往左往する展開が24年は特に強くなりそうだ。
(日経平均推移)
(Reutersより)
欧州市場
英国・EU市場共に値を下げる展開となった。
英国市場は経済指標が好調な数字となった事から、利上げ観測が後退、売りが広がり市場は値を下げる展開に。
EU市場は12月のインフレ率が加速した事を受け、ECBによる利下げ憶測が後退した事で市場は値を下げる展開となった。
また、欧州産ブランデーについて中国は反ダンピングの疑いがあると調査を開始したとの発表を受け、欧州酒造メーカーが軒並み値を下げるなどしている。
(英FTSE推移)
(Reutersより)
今週の為替(EUR/JPY)
EUR/JPY日足(一目・5MA・20MA・100MA )
24年最初の為替はEUR/JPY。
23年1月から約1年間上昇し続けてきたが、23年末に入り、調整の展開となっている。
すでに波動論上での調整波のa波の形成、b波の形成中まで来ているが、c波での下抜けではまだチャンスがあり、1年間かけて上昇し続けてきた27円の半値部分、151.10付近にまで下落する可能性が見て取れる。
調整波a-b波での安値153円を下回ってくれば2円程度の下落、グランビルの法則上で見た場合には、移動平均線付近での戻り売りでトレンド形成、c波に乗ることができれば8円近い下落の波に乗る事はできそうだ。
米国雇用統計を無事に終えてはいるが、利下げ観測に関する憶測などで市場も右往左往することもあり、しっかりと市場展開を見極めてトレードをしていきたい。
特に上がりすぎた金利と実体経済、米国市場動向で24年は上値の重い展開となる可能性もあり、注意が必要となりそうだ。