石田 和哉
9日の米国市場ではS&P総合500種が終値で初めて5,000を上回る展開となった。
AIブームに加えて好決算、投資家にとっての好材料となるニュースなどが背中を押した形となっている。
エヌビディアは過去最高値を更新、クラウドコンピューティング事業を手掛ける企業向けに、高度なAI用プロセッサーを含む特注半導体の設計に特化した新事業部門を設立するとの報道を受けての上昇となっている。
UBSグローバル・ウェルス・マネジメントの米株式部門責任者、デービッド・レフコウィッツ氏は「これまでのAIに関する物語は、インフラ、半導体、データセンターの構築に関するものだった」が、今回の報道は「少なくともAIインフラに対する潜在的な需要が、今後非常に大きくなる可能性があることを強調している」と述べるなど、AIブームはまだまだ続くのではないのだろうか。
中国では春節の大型連休に入っており、直近での低調な指標が出ており芳しくないところであるので春節明けには注意したい所である。
(S&P500 推移)
(Reutersより)
2月2週の注目ポイント(経済指標)
時間表記:日本時間
2月13日(火)
22:30 米国 1月消費者物価指数(CPI)(前月比)
22:30 米国 1月消費者物価指数(CPI)(前年同月比)
22:30 米国 1月消費者物価指数(CPIコア指数)(前月比)
22:30 米国 1月消費者物価指数(CPIコア指数)(前年同月比)
2月14日(水)
19:00 ユーロ 10-12月期四半期域内総生産(GDP、改定値)(前期比)
19:00 ユーロ 10-12月期四半期域内総生産(GDP、改定値)(前年同期比)
2月15日(木)
08:50 日本 10-12月期四半期実質国内総生産(GDP、速報値)(年率換算)
08:50 日本 10-12月期四半期実質国内総生産(GDP、速報値)(前期比)
16:00 英国 12月月次国内総生産(GDP)(前月比)
16:00 英国 10-12月期四半期国内総生産(GDP、速報値)(前期比)
16:00 英国 10-12月期四半期国内総生産(GDP、速報値)(前年同期比)
22:30 米国 1月小売売上高(前月比)
22:30 米国 1月小売売上高(除自動車)(前月比)
日米市場
日本市場は高値となる37,000円を更新する展開となった。
先週までは上値は重いと思われていたが、週の半ばに800円を超える大幅高となり、節目とされていた37,000円をあっけなく抜けた。
AIブームが日本にも押し寄せており、ソフトバンクでは子会社の英半導体設計大手のアームが決算で高い成長力を示したことで買いが集中している。
日本だけでなく、世界ではAI関連企業に資金が集中しており、他の企業との格差が如実なものとなっている。
AI以外の分野では、決算の悪化が見られる企業、景気状況もそれほど好転しない中でのAI関連企業への資金の集中は危うい面も垣間見え、今後の市場動向には特に注意したい所だ。
(日経平均推移)
(Reutersより)
欧州市場
欧州市場は続落となっている。
フランスの大手化粧品「ロレアル」の決算が伸び悩んだことが市場の重石となり、市場は値を下げる展開となった。
BNPパリバは、USBが投資判断を引き下げたことによる下落となっており、STOXX欧州600種も下落となっている。
英国市場も同様に、資産運用会社のリーガル&ジェネラルが売られ保険株の重石となり、イングランド銀行(英中央銀行)の金融政策委員会の委員発言を受け、利下げ観測が後退するなど市場は値を下げる展開となっている。
英中銀のハスケル委員はロイターの取材に応じ、英国のインフレ圧力が弱まりつつある兆しが見られることは好ましいが、政策に対する自身のスタンスを変えるには、インフレ鈍化のさらなる証拠を確認する必要があると述べた。同委員は先週の会合で利上げを主張するなどしている。
(英FTSE 推移)
(Reutersより)
今週の為替(GBP/USD)
GBP/USDの日足では、下降上昇どちらの可能性もあるレンジに近い展開が見て取れるが、一目均衡とMAの組み合わせでみると、推進波5波、見方が苦しくなるが4波の形成となっている様にも見える。
レンジ相場としてみた場合には、高値圏1.27150付近を挟んでのレンジの形成とも取れることから、上値抵抗線1.28450、下値支持線1.24700を抜ける事でトレンドの発生の可能性がある。
一目均衡で見た場合には1.24700を下抜けることで下降トレンドへの転換の可能性が見て取れる。
狭い範囲での動きではあるが、昨年11月からのもみ合い相場・高値を超えることが難しい展開という事もあり、そろそろ動き出してもおかしくない状況ではある。