Nick Goold
トレード心理学とは、取引をしているときの感情の起伏、トレードから受ける影響を理解するものです。
トレードで成功するには、単にマーケットを分析し、適切なタイミングで売買するというようなことではありません。どれだけ勝率が高くても、トレード心理学を習得していないと、成功は難しくなります。トレードには、感情・習慣・トレードの癖などを理解し、不必要なトレードをしない、逆に自分の得意とする相場を逃さないようにできるかどうかという点も成功のポイントとなります。
トレードをするときの心理とその変化を理解するのは、多くのトレーダーにとって課題となっています。例えば、典型的な失敗パターンがFOMO(チャンスを逃しているのではないかという恐怖)状態になってしまい、自分の取引戦略にはない取引をしてしてしまうことがあります。結果的に、損失となるパターンがほとんどです。ストレスに起因するオーバートレード、絶好のチャンス相場を逃してしまうことも、実はトレードの心理状態に起因しています。
トレードで損失を出すのは、どのトレーダーにとっても恐怖でしょう。しかし、トレードとリスクは密接な関係があり、切っても切り離せない関係です。感情や個々の癖に左右されることなく、理論と経験に基づいて、あらかじめ設定したリスクを取って利益を狙うことがトレーダーの目標となります。
トレードで成功するためには、自分の感情をコントロールつまり心理状態を管理することが必要不可欠であり、トレードルールに基づいた考え方を身に着けることが大切です。
そのため、トレードで成功するためには、感情をコントロールする能力が不可欠であり、そのためには強固で規律正しい考え方を身につけることが必要です。
規律
規律は、有益な取引戦略の基礎となるものです。それは、特に誘惑に駆られたときに、自分のトレード計画に忠実であることを意味します。トレード計画から外れた取引を繰り返すと、負けた損失を取り戻そうとするリベンジトレードやチキン利食いといった行為が週間づいてしまい、結果的に大きな損失を被る危険性があります。
取引戦略はいつでも変更可能です。現在の相場にあっていないのであれば、トレードルールを適宜見直してみましょう。
規律を身に着けるには、自分専用の取引ルールを作成し、厳格に守ることです。
取引ルールの主な例は以下のとおりです。
- 明確なストップロスを設定する
- 市場全体のトレンドに合わせたトレードをする
- ボラティリティが高いときにハイレバレッジ取引をしない
- 他の意見を鵜呑みにせず、自分で分析・決定する
我慢する(忍耐)
適切な相場で、最適なタイミングを選択することがトレードの成功の鍵です。銘柄を選択して、明確なシグナルが出るまで待つことが含まれます。そのためには、自制心とFOMOの感情などをコントロールするスキルを身につけなければいけません。
具体的には、トレード計画で設定した明確なシグナルが出現するのを待ち、シグナルが発生したことを確認したら、エントリーします。もし、エントリーできそうにないときは相場から放れるのがよいでしょう。
含み益が出ているポジション、含み損が出ているポジションを長期で保有する場合もあるでしょう。しかし、焦りの感情が出てくると、冷静な判断ができなくなり、チキン利食いしてしまったり、ストップポイントに達していなくてもポジションを手放してしまうことがあります。
ここでは、忍耐力を養うためのアイデアをいくつか紹介します:
- 明確なシグナルが出現するまで待つ
- エントリーする前に、相場がエントリー条件に合致していることを確認する。
- 損失を恐れてチキン利食いをするのを避ける
損切りに対する感情を制する
損切りをしてポジションを決済することは非常に辛いものです。トレーダーは自分への信頼を失い、損失を埋め合わせようとポジション量を多くして再エントリーしたり、冷静な分析ができていない銘柄で取引しようとする場合があります。しかし、このようなケースではリスク管理ができていないため、さらにひどい損失となり、最悪の場合、退場となってしまうこともあります。
確かに、大きな損失から経済的・精神的に立ち直るのは困難なことです。しかし、トレーダーは必然的に損をするものです。最も成功しているトレーダーでさえ、時には損切りをします。損切りを学ぶ機会として扱うことで、次のトレードの改善点を見つけることができます。
損失を経験したら、それを受け入れ、状況を把握し、原因を特定するために取引から少し離れることが重要です。そうすることで、長期的に取引を成功させるための準備ができるのです。
感情のコントロール
すべてのトレーダーが直面する最大の課題の1つは、自分の感情をコントロールし続けることです。トレードで利益を出すためには、強い感情のコントロールが必要です。欲求不満や絶望感などの感情をコントロールできないトレーダーは、過剰なトレードをしてしまいます。このような行動をしないように、感情を管理する必要があるのです。
また、トレードで大きな利益が出た場合でも、トレーダーの心理面に影響します。自己陶酔感から冷静さを欠いたトレードをしてしまう場合があります。そのため、自分の心理状態を意識しながらトレードをすることが重要です。ここでは、トレーダーが経験する一般的な感情のいくつかを紹介します:
- お金を失うことへの恐怖
- 利益を逃すことへの恐怖(FOMO)
- もっと収益が欲しいという欲求
- ストレス
- 自信喪失
自分の感情を完全に抑える必要はありません。その代わり、感情を意識して、理性的にトレードすることを心がけましょう。
悪い習慣をなくす
トレードに関する判断は、習慣、偏見、直感、外圧だけで決めてはいけません。悪い習慣を断ち切るのは難しいです。悪い習慣とは、たまたま運よく成功した悪いトレードを継続することです。
外部からの影響も問題です。例えば、他のトレーダーの真似をしたり、見識があるアナリストの意見やアドバイスに疑いもなく従ったりするトレーダーがいます。
過信や盲目といったトレーダー自身のバイアスに屈する傾向も、心理状態に影響します。
自分の悪い癖や偏見、その他の心理的なワナを意識することが最善の防御策です。トレーダーが陥る数々の落とし穴の中から、自分の過去の損失がどれに起因するのかを判断し、そこから学びましょう。
勝者のマインドセットを身につける
感情をコントロールし、規律ある取引を行い、悪い習慣や影響を避けるための方法を紹介します。
トレード記録を残す
取引内容、トレードした理由やシグナル、環境認識、トレード結果、トレード計画、考え、感情の変化を記録するのがおすすめです。メモを取ることで、自分の癖や偏見、感情に対する認識を深め、ミスを避けることができます。
- 規律を守る
- 勝敗を分析することでその理由を見極める
- 細部にこだわるようになる
- 市場動向を分析する
- 取引戦略の見直しと修正
独自のトレードプランの構築
トレード計画は、重要な規律を身につけるのに役立ちます。また、次のようにすれば、感情に対する耐性や悪い習慣を防ぐのに役立ちます。
- 許容できるリスクレベルを設定する
- 明確な利益目標とストップロスを設定する
- 明確なエントリー・決済シグナルを決定する
- 取引計画を書き出し、見直す
- 取引を行う前に、あらゆるシナリオを検討する
- 様々な状況に対する具体的な対応策を決めておく
- 自分のルールを破らないようにする
自分の感情を理解する
トレード心理学の最も重要な部分の1つは、自分の感情を理解することです。自分の感情が影響を与える前に、マーケットに対する現実的な視点を維持することが重要です。自己認識を持つことで、感情的な選択がもたらす悪影響を予測し、回避できます。
これは、感情を完全に抑制することを意味するのではなく、感情に支配されるのではなく、感情をコントロールする必要があることを意味します。
ここでは、感情をコントロールするための試行錯誤の方法を紹介します:
- 合理的な目標を設定する
- 自分の利益や損失にばかり目を向けない
- 自分の取引計画に忠実であること
- 損失を限定するためにリスク管理を徹底する
- 取引中の自分の感情をメモする
- 他人の後を追わず、自分自身で研究する
- トレードの休憩を頻繁に取る
まとめ
トレーダーは、勝者のトレードマインドを持つよう努力すべきです:
- 忍耐強く、規律正しくあること
- 自分の取引目的を達成できるという自信を持つこと
- 個々の損失にこだわり過ぎない
- スリル、パニック、FOMOなどの強い感情に左右されないようにする
- 市場の急変に対して、断固として行動する
トレードの成功は、「聖杯」のような戦略よりも、心理的なワナを避け、学びと成長を続けるレジリエンス(回復力)を持った堅実な精神力にかかっています。