Nick Goold
移動平均線(MA)は、多くのトレーダーが利用している最も知名度があり人気があるテクニカル指標の1つです。移動平均線は適用する通貨ペア・銘柄の一定期間の平均価格を計算し、その価格を参考にトレーダーは取引判断をします。
移動平均線の算出方法は、設定した期間の各ローソク足の終値を合計し、それをローソク足の本数で割ります。移動平均線は、時間の経過とともに平均価格を示す線として、チャート上に描画されていきます。最も一般的に使用される期間設定は、日足チャートの10日、50日、200日です。もちろん、日足チャートだけでなく、1分足から月足まで、どの時間軸でも移動平均線を用いることができます。
一般的な移動平均線は単純移動平均(SMA)です。これは、各ローソク足の終値を、その期間の本数で割った価格を示す線です。単純移動平均線の他に、指数平滑移動平均線(EMA)、加重移動平均線(WMA)といった種類があります。EMAやWMAは、直近の価格をより重視するように算出された移動平均線の1つです。そのため、単純移動平均線よりも直近の価格変動に敏感に反応します。私は、最も多くのトレーダーが利用する単純移動平均線を好んで用いています。
人気のある5つの移動平均線戦略
ローソク足と移動平均線の位置関係
ローソク足と移動平均線の位置関係の推移によってエントリー・決済を判断するという戦略です。トレンドの終わりの部分で、この戦略を利用すると、大きな利益が狙えます。具体的には下向きの移動平均線をローソク足が明確に上回った場合に買いエントリー、上向きの移動平均線をローソク足が明確に下回ったときに売りエントリーします。
上昇トレンドでは、移動平均線がサポートラインとして機能し、トレンドが継続していれば反発して再びトレンド方向に戻るはずです。しかし、明確に移動平均線を下回るのであれば、トレンドが終わり、さらに価格が下落する可能性が高いと考えることができます。逆に下降トレンドでは移動平均線がレジスタンスラインとして機能しますが、明確に上待ったのであれば、そのまま上昇する可能性が高いと考え、新規買いエントリーを検討できるでしょう。
メリット
- 定期的に売買チャンスがある
- 明確に理解できる
デメリット
- ストップロス注文をしないと大きな損失を出す可能性がある
移動平均線を支持線/抵抗線として活用する
強いトレンドが発生している場合、移動平均線は上昇トレンドでは支持線として、下降トレンドでは抵抗線として機能します。つまり、上昇トレンドにおいて、価格が移動平均線にタッチして反発すれば、新規エントリーのチャンスです。一方、価格が下降している移動平均線にタッチして反落した場合は、新規売りのチャンスとなります。
メリット
- ハイリスクハイリターンの取引機会
デメリット
- 移動平均線に接近するものの、タッチせずに上昇することが多い
- 移動平均線に近づくとボラティリティが上昇するため、ポジションを持ちにくい
移動平均線セカンドクロス戦略
上昇トレンドの中で移動平均線を割り込んだ後、再び移動平均線に接近し、ローソク足が移動平均線を上回った場合、相場は再び大きく上昇する可能性が高いと考えることができます。移動平均線を割り込んだところで売ったトレーダーのポジションのストップロス注文を巻き込み、さらに新規買いエントリーが加わるため、非常に強力です。この戦略は、下降トレンドにおいて、ローソク足が2回目に移動平均線を下回った場合にも有効です。
メリット
- 大きな利益が狙える
- ストップロス幅が小さい
デメリット
- トレンドが強いときのみ有効
移動平均線とローソク足の乖離を利用する
価格が移動平均線から上下に大きく離れている場合、相場は高い確率で移動平均線に向かって戻ります。これは、トレーダーが過去のデータに基づいて移動平均の上下に何ピップス動くかを計算しているため、通常、反転の動きになります。例えば、デイトレーダーは、ドル円が5分足チャートの10移動平均線より10pips上昇したら、売りエントリーを検討できるかもしれません。
メリット
- 取引チャンスが多い
デメリット
- どこまで乖離したら戻るのかは分からない
- トレンド相場では大きなリスク
ゴールデンクロスとデッドクロス
ゴールデンクロスとデッドデッドクロスは、移動平均線の取引戦略として、良く知られている重要なシグナルです。この戦略では、長さの異なる2本の移動平均を使用して、トレンドの変化を見つけます。この戦略は、強いトレンドが発生しているときや、大きなトレンドの動きを探しているトレーダーに最適です。
例えば、ゴールデンクロスは、50日移動平均(短期MA)が200日移動平均(長期MA)を上回ったときに発生し、強いトレンドの発生を示唆します。逆に、デッドクロスは50日移動平均(短期MA)が200日移動平均(長期MA)を下回るときに発生し、弱気なトレンドを示します。50日線と200日線の組み合わせが一般的ですが、トレーダーによっては、10日線や30日線といった他の種類も使用します。
メリット
- 明確なエントリーポイント
- トレンド相場では大きな利益が狙える
デメリット
- 取引機会が少ない
- レンジ相場でのパフォーマンスが低い
結論として、移動平均線は相場のトレンドの有無を適切に把握し、トレード判断をするさいに有益な分析ツールです。移動平均線戦略は、トレンドを把握すること、そして、買われすぎ・売られすぎレベルを判断するのにも役立ちます。