Nick Goold
世界銀行と国際通貨基金(IMF)は、世界経済の発展と金融の安定を促進するために設立された代表的な国際金融機関です。
ワシントンD.Cを拠点とする世界銀行は、1944年に設立され、戦後復興のための資金調達、加盟国の経済発展を促進しています。国際復興開発銀行(IBRD)と国際開発協会(IDA)がその主要機関です。
IBRDは中所得国や信用力のある低所得国に融資などの金融支援を行い、IDAは世界の最貧国に通常よりも緩和された条件で融資や補助金を提供しています。世界銀行の最終的な目標は、貧困を減らし、できるだけ多くの加盟国が繁栄を享受できるようにすることです。
一方、IMFは、国際通貨協力を推進し、国際通貨システムの安定を確保するために1944年に設立されました。世界銀行と同様に米国のワシントンD.C.を拠点に活動しており、190の加盟国から構成されています。IMFの主な機能は、国際収支が困難な加盟国への資金援助、国際通貨協力と為替レートの安定の促進、加盟国への経済問題に関する政策助言と技術支援などです。
世界銀行とIMFは、世界の経済・金融情勢に大きな影響を与え、その政策や行動は、加盟国や世界経済に重要な影響を与える場合があります。世界銀行とIMFの主な役割と機能には、以下のとおりです。
資金調達と融資
両機関は、加盟国の経済成長や国際収支の問題解決のために、融資などの資金援助を実施しています。
政策提言・技術支援
両機関は、政策アドバイスや技術支援を通じて、加盟国のマクロ経済の安定、財政・金融政策、構造改革を支援しています。
キャパシティ・ビルディングと知識の共有
キャパシティビルディングとは、目標達成に向けて組織的な体制・能力の開発をしていくという考え方のことです。両機関は、経済開発を支援し、貧困削減を促進するために、加盟国間の制度的能力の構築と知識の共有の推進に取り組んでいます。
危機管理
金融危機や経済不安の際、両機関は経済の安定と金融市場の信頼回復のために重要な役割を果たすことができます。
ガバナンス
世界銀行とIMFは、それぞれの組織の最高意思決定機関である理事会が方針を決定しています。世界銀行とIMFの理事会は、加盟国との協議を含む選考プロセスを通じて決定されます。理事会は、IMFの専務理事を5年の任期で任命し、その任期は更新できます。同時に、理事会は世界銀行総裁を5年の任期で任命し、これも更新可能です。候補者の経験や資格、加盟国のニーズや優先事項など、さまざまな要因の組み合わせに基づいて選考されます。
メンバーシップ&ファンディング
国際通貨基金(IMF)は、2023年現在190カ国が加盟しています。すべての国連加盟国にIMFの加盟資格があり、IMFは新規加盟を認めるための手続きを定めています。
IMFの加盟国のうち、出資額と議決権で最も大きな国は、米国、日本、中国、ドイツ、フランス、英国、インド、イタリア、ロシア、ブラジルの10ヵ国です。これらの国々は、他の数カ国とともに、IMFの意思決定プロセスに大きな影響を及ぼします。
しかし、主要な政策決定が行われるIMFの総会では、すべての加盟国が平等に発言権を有しています。また、IMFには、日々の業務を遂行し、政策やプログラムを実施する責任を負う、複数の執行委員会、委員会、部門に分かれています。
国際通貨基金(IMF)は、主に加盟国からの拠出金によって運営されています。加盟国は、経済規模や経済力に応じた資金をIMFに提供することが義務付けられています。これらの資金拠出は「クォータ」と呼ばれ、世界経済の変化を反映させるために定期的に見直されています。
クォータに加え、IMFは様々な資金調達の取り決めを通じて国際資本市場や加盟国からの融資を受ける体制があります。例えば、IMFは、拡張基金制度(EFF)、待機信用制度(SCF)、迅速融資制度(RFI)などの融資制度を設け、経済的に問題を抱えている国に対して、さまざまな種類の資金援助を与えています。
また、IMFは、融資業務や投資などの財源を通じて収入を得ることができます。しかし、IMFの主要な資金源は、加盟国が支払う割当額です。
特別引出権(SDR)
特別引出権(SDR)は、国際通貨基金(IMF)が加盟国の既存の公的準備金を補完するために創設された国際準備資産です。SDRの価値は、米ドル、ユーロ、日本円、英国ポンド、中国人民元を含む異なる主要通貨を保有することにより裏付けられています。これは5年ごとに更新され、世界経済における通貨の相対的な重要性を反映するように調整されます。
各国は、経済危機の際や国際収支を支えるための資金調達として、IMFからSDRの融資を受けられます。IMFによるSDR融資対象は、外貨準備高が不足している国や対外的な資金不足に直面している国です。SDR融資は、一般に単一通貨建ての融資よりも安定的で為替リスクの影響を受けにくいと考えられています。
IMFからのSDR融資の返済条件は、その国の状況やニーズを考慮し、個別に決定されます。返済はSDRや他の通貨の使用、商品やサービスの提供などの方法が考慮され、経済を安定させるために比較的長期で融資される場合もあるなど、柔軟に対応する方針です。
全体として、SDRとIMFの融資制度は、経済的な問題や国際収支に問題を抱える国が資金を調達し、安定した生活を送るための重要な手段となっています。SDRで融資を行うことで、IMFは通貨リスクを下げ、世界経済を安定させることに貢献しています。