Nick Goold
デマーカー指標は、トム・デマークによって開発されたモメンタムオシレーターで、市場の買われ過ぎと売られ過ぎの状態を判断するのに役立ちます。このガイドでは、デマーカー指標の計算、解釈、そしてFX取引における実践的な応用について掘り下げていきます。
デマーカー指標の理解
デマーカー指標は、値動きの強さを評価し、反転の可能性のあるポイントを特定するものです。現在の終値と過去の高値、安値を比較し、市場が買われすぎか売られすぎかを判断します。デマーカー指標は、これらの価格水準間の関係を数値化することで、市場の勢いやトレンド転換の可能性について貴重なサインを提供します。
デマーカー指標の計算式は以下の通りです。
DeMaxの計算式
DeMaxは、上昇する価格変動または買い圧力を表します。
現在の高値（High）と前回の高値（Previous High）を比較することで算出されます。現在の高値が前回の高値より高い場合、DeMaxはその差分となります。そうでない場合、DeMaxは0に設定されます。
DeMax = 現在の高値（High） - 前回の高値（Previous High）（High > Previous High）
DeMax = 0 (High <= Previous High)
DeMinの計算式
DeMinは、下降する価格変動または売り圧力を表します。
現在の安値（Low）と前回の安値（Previous Low）を比較することで計算されます。現在の安値が前回の安値より低い場合、DeMinはその差分となります。それ以外の場合、DeMinは0に設定されます。
DeMin = 現在の安値（Low） -前回の 安値（Previous Low） (Low > Previous Low)
DeMin = 0 (安値 <= Previous Low)
DeMarkerの計算式
DeMarkerは、平滑化されたDeMaxとDeMinの値の比率です。
これは、平滑化されたDeMax値の合計を、平滑化されたDeMax値とDeMin値の合計で割ることによって算出されます。平滑化は通常、指定された期間（N）の移動平均または指数移動平均を使用して行われます。
デマーカー = SMA(DeMax, N) / (SMA(DeMax, N) + SMA(DeMin, N))
SMA：単純移動平均
N：平滑化に使用する期間数
デマーカーの結果は、0から1の範囲です。0に近いほど売られすぎ、1に近いほど買われすぎを示します。※チャートシステムによっては百分率（~%表記）で表示されます。その場合は上記の式で出た値を100倍します。
デマーカー指標の解釈
デマーカー指標は0から1まであり、0に近いほど売られ過ぎ、1に近いほど買われ過ぎを示します。デマーカー指標の解釈のポイントは以下の通りです。
・買われすぎと売られすぎの状態
デマーカー指標の値が一定の基準値（通常は0.7）を超えると、市場は買われすぎの状態にあり、下降に転じる可能性があることを示しています。逆に、デマーカー指標がある一定の基準値（通常は0.3）を下回ると、市場は売られ過ぎで、上昇に転じる可能性があることを示しています。トレーダーは、これらの閾値を売買のシグナルとして利用することができます。
※チャートシステムによっては百分率（~%表記）で表示されます。
その際は30%で売られすぎ、70%で買われすぎを示します。
・ダイバージェンス
ダイバージェンスは、価格とデマーカー指標とが反対方向に動くときに発生します。強気のダイバージェンスは、価格が安値を形成し、デマーカー指標は高値を形成する場合に発生します。これは、強気な反転の可能性を示唆するものです。逆に、弱気のダイバージェンスは、価格が高値を形成し、デマーカー・インディケーターが安値を形成したときに発生し、弱気の反転の可能性を示しています。
トレーダーは、ダイバージェンスパターンを利用して、トレンドの転換の可能性を予測することができます。
・他のインジケーターによる確認
デマーカー指標のシグナルの精度を高めるために、トレーダーは他のテクニカル指標と併用します。
例えば、相対力指数（RSI）やストキャスティックス・オシレーターなどのオシレーターとデマーカー指標が収束または一致するかどうかを確認します。
複数の指標でシグナルを確認することで、反転やトレンド継続の可能性をより強く示唆することができます。
デマーカ指標のFX取引への応用
デマーカー指標の計算と解釈について理解したところで、FX取引における実践的な応用を探ってみましょう。
・買われ過ぎと売られ過ぎのレベルを特定する
デマーカー指標は、市場の買われ過ぎと売られ過ぎのレベルを識別することができます。買われすぎの場合は0.7以上、売られすぎの場合は0.3以下と、インジケータが極端なレベルに達した場合、価格が反転する可能性があることを示唆しています。トレーダーは、このレベルに達したとき、他のテクニカル指標や価格パ ターンから追加で確認しながら、トレンドとは逆の方向に取引を行うことを検討できます。
※チャートシステムによっては百分率（~%表記）で表示されます。
その際は30%で売られすぎ、70%で買われすぎを示します。
・エントリーポイントとエグジットポイントのタイミングを計る
デマーカー指標は、取引のエントリーポイントとエグジットポイントのタイミングを計るのに役立ちます。
例えば、インジケータが売られ過ぎのレベルを下回り、上昇し始めた場合、市場が上昇に転じる可能性があるため、買いの機会を示唆する可能性があります。逆に、買われすぎのレベルを超えて下落に転じた場合は、相場が下降に転じる可能性があるため、売り場となる可能性を示しています。トレーダーは、これらのシグナルを他のテクニカル分析ツールと組み合わせて、エントリーやエグジットポイントを細かく調整することができます。
・シグナルのフィルタリング
デマーカー指標の精度を高めるには、トレンドを考慮した上でシグナルをフィルタリングすることが重要です。上昇トレンドの場合は、売られ過ぎの状態を買いのチャンスと考え、下降トレンドの場合は、買われ過ぎの状態を売りのチャンスと考えます。トレンドとシグナルを一致させることで、トレードの成功確率を高めることができます。また、市場のニュースを考慮することで、市場のトレンドが強いときに潜在的な損失を防ぐことができます。
・リスク管理
トレンド相場では、反転戦略の取引は大きな損失につながる可能性があるため、ストップロスを設定することが重要です。サポートとレジスタンスを分析することで、市場が買われすぎているときはレジスタンスの上に、市場が売られすぎているときはサポートの下にストップロスを置くことができます。
・利益確定のタイミング
利益確定タイミングは、売りポジションを持つ場合は市場が0.5以下に戻ったとき、買いポジションを持つ場合はそれ以上に戻ったときに設定することができます。また、支持線と抵抗線も利食いレベルを探す際に有効です。
※チャートシステムによっては百分率（~%表記）で表示されます。
その際は50%で判断する
デマーカー指標は、買われ過ぎと売られ過ぎの状態に関するトレンドの転換をいち早く察知し、トレーダーが外国為替市場の反転の可能性を識別するのに役立ちます。デマーカー指標の計算、解釈、実用的な応用を理解することで、トレーダーはデマーカー指標を取引戦略に取り入れることができます。
しかし転換のサインが早すぎるため、ダマシが多くなるデメリットもあります。デマーカー指標以外のインディケーターや支持線、抵抗線などど併用して使い、弱点を補うことを覚えておいて下さい。
