Nick Goold
累積/分布（A/D）は、トレーダーが市場の出来高の流れを評価し、買い圧力や売り圧力の強さを判断するために使用する人気のテクニカル指標です。マーク・チャイキンが開発したこの指標は、価格と出来高の両方のデータを組み合わせることで、市場動向に関する貴重な洞察を提供します。この記事では、累積/分布（A/D）の計算、解釈、適用、メリット、デメリットなど、その複雑さを掘り下げて説明します。
累積／分配（A/D）の理解
累積/分布（A/D）は、価格変動に関連した取引量から、市場が特定の資産を蓄積（買い圧力）しているか、分配（売り圧力）しているかを明らかにできるという原則に基づきます。この指標は、出来高データを組み込んで、分析対象資産への資金流入または資金流出の全体的な流れを判断します。
累積/分布（A/D）の計算
累積/分布（A/D）の計算には、3つの主要な要素が含まれます。
・マネーフロー倍率(MF)
MF = [(終値-安値) - (高値-終値)] / (高値-安値)
・マネーフロー・ボリューム（MFV）
MFV＝MF×出来高
・累積/分配ライン（ADL）
ADL = 前回のADL + MFV
累積/分布（A/D）の解釈
累積/分布（A/D）は、以下のように解釈することができます。
トレンドの確認
累積/分布線が上昇している場合、買い圧力と資産の蓄積を示唆します。逆に、線が下降している場合は、売り圧力があり、分配が行われていることを示します。
トレーダーはこの情報をもとに、基本的なトレンドを確認し、情報に基づいた取引判断を下すことができます。
ダイバージェンス分析
価格と蓄積・分布の間のダイバージェンスは、トレンドの反転の可能性を示唆します。強気のダイバージェンスは、価格が安値を更新する一方で、累積/分配ライン（ADL）が上昇傾向の場合に発生し、潜在的な買い機会を示します。逆に、弱気のダイバージェンスは、価格が高値を更新し、累積/分配ライン（ADL）が下落傾向の場合に発生し、潜在的な売り機会を示唆します。
支持線と抵抗線の識別
累積/分布は、支持線と抵抗線を識別するのに役立ちます。この指標が過去のピークを上抜けた場合、買い圧力が継続し、新たな支持水準が確立される可能性を示唆します。逆に、過去の谷を下抜けた場合は、売り圧力が強まり、新たな抵抗線が形成される可能性を示唆しています。
累積/分布（A/D）の応用
累積/分布（A/D）は、トレーダーにとっていくつかの応用が可能です。
トレンドの確認
トレンドの強さを確認し、より正確な取引判断を下すために、累積/分布（A/D）の利用が可能です。上昇トレンドで累積/分布（A/D）が上昇したり、下降トレンドで累積/分布（A/D）が下降することで、トレンドの持続性を確認することができます。
出来高分析
出来高データを取り入れることで、トレーダーは買い圧力や売り圧力の強さを評価することができます。累積/分布（A/D）の上昇に伴う出来高の増加は、買い意欲の強さを示し、累積/分布（A/D）の減少に伴う出来高の増加は、売り圧力の強さを示します。
ダイバージェンス取引
価格と累積/分布（A/D）の間の乖離を利用して、トレンドが反転する可能性を予測することができます。このような乖離は、市場ダイナミクスの変化をいち早く察知し、逆張りの取引戦略の基礎となるものです。
累積/分布（A/D）のメリット
累積/分布（A/D）には、トレーダーにとっていくつかの利点があります。
出来高と価格の関係
出来高と価格のデータを組み合わせることで、買い圧力や売り圧力と価格の動きの関係を把握することができます。これにより、トレーダーは市場のセンチメントを把握し、より多くの情報に基づいた取引判断を行うことができます。
トレンドの確認
このインディケータは、トレーダーがトレンドの強さと持続性を確認するのに役立ち、強く確立されたトレンドに参加し、潜在的に弱い、または不確実なトレンドを回避することができます。
ダイバージェンス分析
累積/分布（A/D）は、価格とインジケータの間の乖離を検出する能力があり、トレンドの反転を早期に知らせる貴重なシグナルを提供し、トレーダーが群衆より先に 取引を開始または終了する機会を提供することができます。
累積/分布（A/D）のデメリット
累積/分布（A/D）は、いくつかのデメリットがあります。
遅行性
他の多くのテクニカル指標と同様に、累積/分布（A/D）は、市場の勢いを理解するために過去のデータに依存する遅行指標です。トレーダーは、買い圧力や売り圧力の変化を特定するのが遅れる可能性があることを認識する必要があります。
不完全なデータ
累積/分布（A/D）は出来高データを組み込んでいますが、期間中の具体的な出来高分布は考慮されていません。詳細な出来高分析に大きく依存しているトレーダーは、制限と感じるかもしれません。
ダマシのシグナル
他の指標と同様に、累積/分布（A/D）は、特に乱高下や出来高の少ない市場環境において、誤ったシグナルを発生させる可能性があります。
トレーダーは、追加のテクニカル分析ツールや確認シグナルを使用し、誤判定の可能性を低減する必要があります。
累積/分布（A/D）は、出来高と価格のデータを組み合わせて、市場の買い圧力と売り圧力を評価する、貴重なテクニカル指標です。その計算、解釈、適用を理解することで、トレーダーは市場動向に関する貴重な洞察を得て、トレンドの強さを確認し、潜在的な取引機会を特定することができます。しかし、トレーダーは、遅行性の性質や誤ったシグナルを発する可能性など、このインディケーターのデメリットに注意する必要があります。
累積/分布（A/D）は、他のテクニカル分析ツールや確認シグナルと併用して、包括的なトレー ディングアプローチを行うことが推奨されます。練習と経験を積めば、トレーダーは累積/分布（A/D）のパワーを活用し、取引戦略を強化し、規模の大きい外国為替市場でより多くの情報に基づいた意思決定ができるようになります。
