Nick Goold
多くのFXトレーダーは、簡単に利益を上げるための分析ツールを見つけたいと思い、チャート分析の勉強を始めます。経験が少ないトレーダーはできるだけ多くのテクニカル指標を学ぼうとし、トレードを教える人もチャート分析を推奨します。しかし、現実は甘くありません。損失となったトレードの後、なぜ損を出してしまったのか、本質の部分を考えず別のチャート分析手法を探すことに集中します。
実際のところ、多くのテクニカル分析ツールの使い方や手法を学んだ後でも、ほとんどのトレーダーはトータル収益がマイナスとなっています。なぜでしょうか。
チャート分析はエグジット(決済)よりも、どこでエントリーするのかという点に着目しており、トレードで大切な部分である「リスク管理」については考えられていません。そして、多くの場合、損失の原因はリスク管理ができていないことです。
チャート分析は将来の値動きの参考になりますが、たとえ高い勝率を達成しても長期的な利益を保証するものではありません。なかなか利益が増えないトレーダーであっても勝率が50%を超えている場合があります。それでも全体損益はマイナスになっている場合があります。それは、手法ではなく、リスク管理が原因となっていることがほとんどです。
リスク管理を適切に実施すれば、損失を最小限に抑え、証拠金を守りつつ、積み上げてきた利益を保護することになります。多くのトレーダーが注目しているチャート分析は、トレーディングのエントリー・決済を決めるときに参考にする側面に過ぎません。適切なリスク管理をしなければ、どれだけ経験があるトレーダーで、チャート分析ツールに精通していても、いずれFX取引で大きな損失を経験する可能性が高いといえます。
リスク管理ができていないトレーダーの特徴は、感情的なトレードを繰り返す、過剰なレバレッジを多用する、ストップロス注文を設定しないという点が挙げられます。このような傾向があるトレーダーは、たとえ、トレンド分析ができており方向感が正しかったとしても、相場から退場せざるを得ない状況になってしまう可能性があります。
リスク管理を優先しているトレーダーは、損失を最小限に抑え、安定した口座残高推移を維持し、長期的な利益を得ることができるでしょう。このようなトレーダーになるためには、リスクリワードを意識すること、ストップロス・利益確定を適切に実施すること、感情的な取引や過剰なポジション量を避けて、ポートフォリオを作成し、リスクを軽減する必要があります。
リスクマネジメントの改善方法
エントリー前に出口戦略を作成する
ポジションを保有しているとき、目の前で損益が変動します。そうした状況では冷静な判断は難しいかもしれません。そのため、ポジションを持つ前に、トレードをどこで終了するか、出口戦略を作成ししょう。エントリーポイントを計画しながら、ストップロスやテイクプロフィットレベルを同時に計画することで、ハイリスクリワード(損失より利益が大きい)トレードに集中することができます。
ポジションサイズを頻繁に変更しない
トレーダーの中には、損失が出た後、取引ロット数を増やして損を取り戻そうとする人もいます。逆効果です。1日のうちにポジションサイズを変更することは避け、トレードを開始する前にポジションサイズを決めておきましょう。
損失を受け入れる
損失を避けようとするため、ストップロス位置を移動させてしまうトレーダーもいます。トレードする前に、リスクを把握しましょう。損失を出したときに驚かず、冷静に対処できます。
リスクリワードを重視する
損失に対して大きな利益を上げる可能性の高いトレードに注目しましょう。トレーダーにとって最も重要な仕事です。ですから、高い勝率ではなく、平均損失額よりも高い平均利益を達成することに集中しましょう。
まとめると、FXトレーダーにとってチャート分析は必要不可欠ですが、FX市場で長期的に成功するためには、効果的なリスク管理が重要です。