Nick Goold
トレーリングストップは、FX取引で使用される注文方法の1つです。マーケットがマーケットが利益の出る方向に変動すると、設定に基づいてストップロスレベルを自動調整します。
例えば、ロング（買い）ポジションを持つ場合、相場が上昇するにつれて自動的にストップレベルが挙がります。逆に、ショート（売り）ポジションを保有している場合は、相場が下落するにつれてストップのレベルを下げます。
トレーリングストップは、現在の価格から一定の距離または割合でストップロス・レベルを設定します。価格がトレーダーに有利な方向に動いた場合、トレーリングストップを設定しておけば、ストップロス・レベルが調整され、相場が反転したとしても利益を確保できるのです。
例えば、トレーダーがドル円（USD／JPY）を130.05で買いエントリーし、ストップを129.95（ストップロス幅：10Pips）に設定した場合を考えます。またトレーリングストップを10Pipsに設定したとしましょう。価格が130.25まで勢いよく上昇したら、ストップは10ピプス下の130.15に変更されます。ドル円が反転して130.15まで下落した場合は決済され、10Pipsの利益が確保されます。
トレーリングストップは、利益を確保しつつリスクを抑えたいトレーダーにとって効果的なツールです。トレーリングストップは、市場が不利になった場合に大きな損失を被るリスクを最小限に抑えながら、トレーダーが利益を確定することを可能にします。
トレーリングストップは、自動設定ツールもしくは手動で設定できます。MT4では、ストップロスを自動的に調整するトレーリングストップを使用できます。もっとコントロールしたいトレーダーは、ストップロスを調整できますが、それには時間がかかることがあります。
トレーリングストップがあなたのトレードを向上させる方法をいくつか紹介します。
利益を確定する
トレーリングストップを設定すると、マーケットがポジションに有利に動いたときに確実に利益を守れます。含み益が出ていたにも関わらず、みすみす失ってしまうことほど悔しいことはありません。トレーリングストップを使用して利益を確定することで、ストレスも軽減され、FX取引で安定した利益を上げることがより容易になります。
損失を限定する
トレーリングストップは、損失を軽減するのにも役立ちます。価格がポジションに対して不利に動いた場合、トレーリングストップは設定されたパーセンテージまたは金額に達すると作動し、指定されたストップロスレベルで自動的にポジションを決済します。トレーリングストップは、含み益が損失になるのを防ぎ、ポートフォリオ全体の勝率を上げます。
感情的な取引を減らす
自動トレーリングストップは、トレーダーに代わってマーケットを監視し、ストップレベルを手動で調整する必要がないため、トレーダーの感情的な取引を最小限に抑えられます。これにより、衝動的なトレード判断を防ぎ、トレード計画に沿った取引ができるようになるでしょう。
利益をできる限り伸ばせる
トレーリングストップは、トレーダーの利益を最大化するのに役立ちます。強いトレンドの中で、利益を得るための価格水準を予測するのは簡単ではありません。トレーダーの中には、ターゲットを設定せず、トレーリングストップでポジションを終了する人もいます。トレーリングストップは、トレンドが続く限りそのトレンドに乗ることができ、同時に利益を保護し、損失を最小限にできるのです。数回の取引であっても強いトレンドに乗ることができれば、長期的なパフォーマンスを大幅に向上できます。
リスク管理の向上
トレーリングストップを使用すれば、トレーダーはリスクをより適切に管理できます。トレーリングストップは、あらかじめ決められた損失レベルで取引を終了させ、大幅なドローダウンを防ぐでしょう。
トレーリングストップを使用するヒント
サポートとレジスタンスを併用する
トレーリングストップと支持線・抵抗線を併用して活用しましょう。そうすれば、よりトレード成績を向上できます。例えば、上昇トレンドでトレーリングストップを利用する場合、ストップロスを移動平均線やトレンドラインの下に設定します。同様の考えで、レンジ相場でトレーリングストップを利用するのであれば、ロングポジションを保有する際に、ストップロスを下限レンジの下に設定するなら、パフォーマンスが向上するでしょう。
タイムストップを使用する
タイムストップとは、値動きよりも時間をかけてストップロスのサイズを小さくしていくものです。成功するトレードの多くは、含み益が出るまで時間はかかりません。しかし、ポジションを長時間保持することはストレスになり、他の機会のトレードチャンスを逃してしまうかもしれません。例えば、1時間ごとにストップロスを5ピップスずつ減らしていきます。
トレーリングストップを利用するタイミング
トレーリングストップをポジションを持ってすぐに設定してしまうと、利益を逃す結果になります。トレーリングストップは有効な注文方法ですが、問題は設定するタイミングです。
例えば、デイトレードの場合、取引が1〜2ピップス儲かったら、すぐにストップを再設定してしまうことがあります。残念ながら、トレードのタイミングが完璧であることは稀であり、トレーリングストップを使用する前に、マーケットが希望の方向に大きく動くのを待つ必要があります。
トレーリングストップは、トレーダーが市場の動きを利用しながらポジションとリスクを管理するための貴重なツールになります。これにより、トレーダーはトレンドに乗りながら、市場が不利になった場合の損失を限定できます。
